小説・聖闘士星矢VSセーラームーン(その5)
第2話:第2回銀河戦争記(その3)
夜もすっかりと更けて、一面の星空のもと、闘場の中央を数台の照明塔が照らし出す。そこに。濃いグレイのスーツ、朱色のシャツに身を包んだ一人の男が現れる。
「わたしは、黄金聖闘士が一人、双子座ジェミニのカノン」
その男、ジェミニのカノンが名乗りを上げる。
「双子座といえば、たしか12人のゴールド聖闘士の一人じゃないですか」
「そうねえ、たしか先の大会では射手座のクロスを争うって話じゃない」
海野となるのやり取りをよそに、カノンの口上は続く。
「みなさまも知っての通り、かつての大会では若き聖闘士たちが射手座のクロスを目指し、その力と業を競ったものだったが、ここ最近の世界の混迷、心苦しいながらも我ら聖闘士たちの敵対組織の陰謀によって中止を余儀なくされたものだった。
対して彼らを含む聖闘士有志によって、ひとまずの収束となり、その後の事後処理を経て、この度の第2回大会を開催することに至ったのだ。
彼らの再びの熱き闘い、そして先の射手座サジタリウスをはじめ、我ら黄金聖闘士の実力に見合うかをみなさまの目と耳で確かめるとともに、この世界の混迷に苦しむ人々の心の支えとなるためにこの大会を開かんと、この度グラード財団代表、城戸沙織さまに協力を仰いだ次第です」
もちろん、彼自身も今までの災厄に対する罪滅ぼしの意味を含んでいるのだが。それはうさぎたちをはじめ、ほとんどの観客には知ることのないことだった。
「今大会は、純粋に彼らの力を業を競うをみなさまに見守っていただきたい」
と、会場中央から姿を消す。カノンの跳躍で闘場端へと移動したのだ。
こうして、第2回銀河戦争の火蓋は切って落とされた。
試合形式は6人の総当たり戦で、10キロ四方のフィールドで闘い、拳を三回ヒットさせれば勝ちとなる。全対戦を通じてトップの者が決勝でカノンと対戦するのだ。
かくて対戦は始まった。とはいえ総ての対戦をここで表記するのは困難なので、ひとまずはダイジェストでお送りする。
まずは星矢対シャイナ、かつてのわだかまりは今は昔、開始前シャイナは「本気でかかつておいで」と告げ試合が始まる。不敵な仮面の女闘士の攻めは、広大な闘場に砂塵の嵐を巻き起こす。それが演出ではないと特別席のうさぎたちはもちろん、一般席のほとんどが気が付くのにはさほど時間はかからなかった。
「流石はシャイナさんだ、今まで以上に容赦ないな」
「逃げてばかりじゃ面白くないね、本気を出せと言ったはずだよ」
「そうだな、ウォーミングアップはここまでにして、そろそろ本気出すか」
そう言うや。星矢の姿が消えたかと思えば、シャイナの右手と肩のクロスのパーツ、そして正面から仮面を叩き落とされる。
「どうだい、シャイナさん」
「まさかこれほどまでとはね、してやられたよ」
こうして勝負は星矢の勝利に終わった。
「すごいな星矢さん、でもまだ本気じゃないかな」
「それでも、やはりすごいわねえ」
闘いの様子をうさぎは感嘆し、それにはレイも同調するのだった。
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