ドラえもんとゆかいな仲間たち:21エモン<本当は怖いドラえもん>
さて今回も本編から離れて、藤子F作品の佳作ともいえる『21エモン』について軽く述べたいと思います。
21エモンのお話をおおまかに述べるに、未来の世界のトウキョウ。そこにひっそりとたたずむホテル“つづれ屋”。そこの一人息子のつづれ屋21エモンはそのオンボロホテルのボーイのバイトをこなしつつ、いつかは宇宙中を冒険したいという夢を抱いてきた。
その後さまざまな宇宙人との交流を経て、宇宙生物モンガーとイモ掘りロボットのゴンスケと一緒に念願の宇宙への冒険をすることになった。そしてその冒険を経て、家業のホテルを宇宙に進出させるという新たな夢を目覚めさせたそうな。
お次は主人公のエモンの周囲を彩るファクターについて。
まずエモンの家のホテルつづれ屋。これは江戸時代から続く旅館からの由緒ある歴史を持ちながらも物語の時代に取り残された、いわゆるダメホテルとして描かれた。そんなつづれ屋をまずは支えていこうとエモンとその父が宇宙人たち中心の客引きに励んでいた。しかしお話が進むにつれてそんなつづれ屋のよさを評価してくれたり、エモンの宇宙旅行の資金を援助したりと、ご都合主義ながらも次第に経営を横転させたのだった。そういえばドラえもんのお話でも『オンボロ旅館をたて直せ』において偶然家出をしたのび太くんがドラえもんの助けを借りて当時のつづれ屋を立て直して、これまた家出をしていた息子が戻ってひとまず虎口を逃れる(旅館をたて直す)ことができたとか。
次にエモンの仲間たる宇宙生物モンガー、宇宙の絶対生物といった触れ込みで様々な超能力を駆使して時にはエモンたちを振り回しながらもサポートしていく。イモ掘りロボットのゴンスケはこれまた説明の必要はないだろう、ドラえもんと並ぶ藤子F作品の名キャラクターの一人でもある。
そしてさまざまな宇宙人も前半のホテル編や後半の宇宙冒険編を通じて藤子F作品の“すこしふしぎ”な要素のファクターとして描かれた。後の宇宙冒険編は後作品の『モジャ公』でのストーリーにも通じたのだ。
これもご多分に漏れず80年代の劇場版を皮切りに、90年代のテレビアニメでの放映がなされ(ついでにモジャ公もアニメ化され)ひとまずの好評を博したのも述べるところ。これもまた当時のドラえもんのある意味低迷期を払しょくする役目を担ったのかもしれない。
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