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ドラえもん・オリジナル大長編:のび太と海底帝国(その5)

街はずれの国境線を挟んで整然と並ぶバトルフィッシュの群れ、それをモニター越しに見やる首相と皇帝、そして長官とドラミちゃん。

首相「間違いなくバトルフィッシュだ。しかし本来ならこう待つことなく一気に攻めてくるはずだ」

皇帝「おそらくはあなた方ムー連邦と我が帝国との戦争状態を作りその隙に何やらを企んでいる者でしょう。お恥ずかしいながら、その輩の中には我が姪もおりますゆえ」

ドラミ「とにかくそれらを食い止めなければいけません。今お兄ちゃんたちにも連絡しましたから、もうすぐそちらに向かうでしょう」

首相「それは、間違いないのかね」

皇帝「はじめわたしもそう思いました。しかし突然ドラミくんが現れ、事情を話してからここに参った次第です」

長官「分かりました、我が軍で対処いたしましょう」

首相「うむ、頼んだぞ」

ドラミ「それから私もお力を貸しましょう」

皇帝「とんでもない、ロボットとはいえ幼い女の子を戦場に出すなどと」

ドラミ「大丈夫ですよ、こう見えてもお兄ちゃんよりもちょっと優れていますから」と、と、皇帝の制止もそこそこにドラミちゃんも連邦軍とともに乗り込んでいく。

 

一方バトルフィッシュ群から少し後方、数人の黒ずくめの男たちの後ろで悠然と座している女性は迎え討たんとする連邦軍の動きを察知した。

女性「どうやら動いてくれるようね、あの子たちはミーナが足止めしていることだし、そろそろ始めましょう」

指示を出して、黒ずくめの男がモニターのスイッチを押す。バトルフィッシュ軍は一斉に進軍していく。対して連邦軍も戦闘艇を中心に出撃する。その中にはイカのシルビイと何とドラミちゃんが単体で出撃していく。

「お頭、あれはまさか、ドラえもんの妹の」

女性「まさかロボット技術者のドラミ、どうして彼女が」

「ひょ、ひょっとして計画が察知されたんじゃ」

女性「まさか、計画は綿密に組まれたはずよ、あなたたち何かヘマをやらかしたんじゃないの」

「いえ、滅相もない、おれたちも計画の準備のために警戒されずに行動しましたが」

そこに執事の老人が現れて意見を述べる。

「エレナ様、これはやはり彼女がドラえもんの行動を察していた結果だと愚考(へりくだりながら考えを述べること)いたします」

エレナと呼ばれた女性「何ですって、でもあり得るわね、差し当たって彼女をやっつけなさい」

「ははっ」

 

もう一方、一路ムーへと帰還するエルたちは、

ジャイアン「おい、もうちょっとスピードが出ないのか」

ルウ「これが精いっぱいだよ、今パナマを抜けたばかりだから、何せ太平洋は広いからね」

リム「とにかく国のみんなが心配だからね、って、後方に追いかけて来る船が、これってまさか」

のび太「あのお姉さんの船かな」

しずか「お姉さんって、皇帝の姪ごさんのこと」

のび太「あ、そうだった。でも追っかけてくるのは面倒だなあ」

スネ夫「なんかだんだん近づいてくるよ。早く振り切ってよ」

エル「とにかくあちらが仕掛けてこないうちは大丈夫だけど、皇帝の姪ごさんだったらこちらもうかつに手を出せないな」

リム「とにかく全速前進、本国に近づきさえすればこっちのものだから」

のび太(やっぱりエルくんより頼りになるなあ、いやエルくんも頼りになるけど)

 

戻ってムー連邦、バトルフィッシュの攻勢を連邦軍の船とシルビイが応戦していき、その援護もあってドラミちゃんが果敢に攻めていく。まさに手を変え品を変えての大活躍だった。

ドラミ「ちょっときりがないわ、こうなったらちょっと問題があるけど、お願いバギーさん」

と、今まで調整のためドラミちゃんが預かっていたバギーを出して、それに乗ってまた攻めていこうとする。

ドラミ「それじゃあお願いね」

バギー「任セテ下サイどらみサン」

と敵の目の前を突っ込んでいく。

バギー「フンダ、オ前タチノ攻撃ナンカ当タラナイヨ」

しかし敵のビームが車体をかすめる。

ドラミ「もう、ちょっと気を付けて」

バギー「アア、スミマセン」

先輩「おお、ドラミさんが押してくれたぞ。こちらも一気に押し返すぞ」

ロド「はい!」

と、シルビイを中心に先輩たちも進軍していく。そんな折、エルたちの船が近付いてきた。

 

連邦軍の指令室にてエルから通信が入る。

エル「こちらはエル、任務の途中で引き返し申し訳ありません」

長官「おおエルか、詳しいことは聞いている。今ドラえもんくんの妹のドラミくんがことに当たっている」

ドラえもん「ええっ、ドラミが戦っているの、だったら助けないと」

長官「ともかく彼らを退けたらまた任務に戻りたまえ、と言いたいが、こちらも結構やるべきことがあるから、やはりその後だな」

エル「はい、了解しました」

そこにオペレーターの兵士が後方の船に気付く。

「長官、エル隊の船の後方に一隻の船が」

長官「うむ、これも敵の船に違いないな、って、おや皇帝は」

「ああ、先ほどまでここにおられましたが」

 

一方で件の司令船、一連に事態に多少は混乱していった。

エレナ「どうなっているの、まるっきり計画に狂いが生じているんじゃないの」

「お頭、アトランチスに赴いていたエルの船がこちらに近づいて、あとミーナの船もついてきました」

エレナ「何ですっ!?

 

ドラえもん一行も戦場となった海域に駆け付けてきた。

ドラえもん「どうやら間に合ったかな、みんなも戦っているようだし。ああ、ドラミもがんばっているな」

のび太「とにかくドラミちゃんを助けに行こう、あとミーナさんのことどうしよう」

エル「それは僕に任せてって、あれ、小型船が近付いてくるよ」

そこに長官から通信が入る。

長官「大変だ、皇帝が小型船に乗ってそちらに向かっている。まずは援護の方を」

しかし皇帝の船はエル隊の船を素通りしてミーナの船に向かっていく。ミーナの船もそれに気が付き、その進行を止める。

ミーナ「え、何なの、あの船って、まさか、おじ様」

はたしてその船から皇帝が出てきた。もちろんドラミから手渡されたテキオージェルを使って。

皇帝「ミーナ、これ以上はやめなさい、これ以上彼らの計画に加わって世界を乱さんとするのは」

ミーナ「まさかおじ様がこんなところに、でも、どうして」

目の前の皇帝にその動きを止めるミーナ。逃げようにも指先から動かない。皇帝もミーナの船に近づこうとする。もちろんエルたちも皇帝を守らんとよって来る。

エル「さしあたって皇帝を守らなきゃ」

ルウ「あっ、6時の方向(ちょうど真後ろ)に大きな船が」

ジャイアン「なんだって、何で気が付かなかったんだ」

しかしあの司令船が後ろから迫ってきたのだ。しかしその船はエルたちや皇帝には目もくれずにミーナの船を回収していく。こうして一目散に逃げ去っていく司令船。ちょうど差し向けたバトルフィッシュはほぼ撃退されたのだ。

皇帝「ミーナ・・・・・」

そこにエルが近付いてきた。

エル「大丈夫ですか、皇帝」

皇帝「ああ、わたしは大丈夫だよ。まさか君たちも駆けつけてきたとは、いや、ドラミくんが連絡してきたのか」

エル「ともかくムー本国に戻りましょう。いろんなことが起こりましたから、その整理をしないと」

皇帝「うむ、そうだな」

と、皇帝とともにムー本国へと帰還するエルたち一行だった。

 

つづく

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