オリジナル大長編:のび太と海底帝国(その4)
皇帝「それでは、くれぐれも気を付けてくれたまえ」
皇帝らの見送りで、エルたちは一路旧アトランチス領へと向かうのだった。
その途上、珍しく考え事をしていたのび太くんに、ルウとリムが近づいてきた。
リム「どうしたの、のび太さん」
のび太「うん、これからアトランチスで鬼岩城のことを調べるというけれど、何やら妙な腹騒ぎ、いや胸騒ぎがするんだよね」
ルウ「ポセイドン亡き今だったら鬼岩城の脅威はないはずだけど」
リム「ともかくその鬼岩城が本当に復活するのか。もし復活するならそれを止めるのが当面の目的だからね」
のび太「うん、本当は戦いはイヤだけど、世界のためにやらなきゃならないのは僕もわかってるよ」
そこにエルが顔を出してきた。
エル「とにかく旧アトランチス領まで行けばすべてが分かるよ」
のび太「あれエルくん、操縦の方はどうしたの」
エル「船は自動操縦に切り替えているよ。目的地まで時間はあるからね、さあそれまで一休みしよう」
のび太「なんだか前よりのんびりとしているね」
ルウ「父さんを目指してがんばっていたからね。本当はちょっとのんきなところがあるんだ」
のび太「うーん、ちょっと大丈夫、かなあ」
ともあれ、潜水艇は一路旧鬼岩城へと向かう。しかしドラえもんが血相を変えて飛び出してきた。
ドラえもん「た、た、たいへんだ、今ムー連邦が何者かに襲われてるって」
エル「何だって、それはどういうことなんだ」
ドラえもん「うん、実はドラミって、僕の妹が、連絡してきたんだ」
ルウ「どうしよう、今は鬼岩城の跡地を調べなきゃいけないのに」
リム「本国にはロドたちが守っているし、いざとなればシルビイもいるから」
エル「でも、こっちの方が陽動、つまりひきつけるおとりってこともあるな。よし、鬼岩城のほうは後回しにして、今から目の前の危機に向かおう」
というわけで、エルたちは当初の作戦を変更し、一路ムー本国へと逆戻りと相成った。しかし急ぎ足で戻る潜水艇を追いかける船があった。
ミーナ「ちょっと、いきなり逆戻りなんて聞いていないわよ、待ちなさい!」
それはアトランチスのミーナの船だったのだ。
一方、ムー本国のレムリアでは先輩と一緒にロドがパトロールにあたっていた。
ロド「しかしエルの奴、今ごろ元気でやってるかな」
先輩「ほら、前がお留守だぞ。無駄口たたいていないで集中しろ」
たしなめてから先輩が続ける。
先輩「エルだったら大丈夫だろう。あいつもリムやルウがいるからな」
ロド「そうですねえ」
と、ロドがモニターに目を向ける。そこには、巨大な魚らしきもの、間違いなく鬼岩城のバトルフィッシュの大群だった。
ロド「なに、これはまさか、バトルフィッシュ!?」
先輩「ばかな、鬼岩城はたしかに滅んだはずだ」
ロド「どどどうしましょう先輩」
先輩「どうもこうもない、ここは逃げるしかない」
と、巡視艇は逃げるように本部へと帰還する。その際本部にはバトルフィッシュ襲来の報せが届けられる。
本部では高官の一人が長官にことの次第を問いただす。
高官「鬼岩城は滅んだのではなかったのかね」
長官「それについてはエルたちに調べさせていましたが、まさかこのようなことになろうとは」
本部のモニターにはバトルフィッシュの群れが近づいてくるのが映し出される。
長官「ともかく、我々も全力で対処いたします。皆さまには市民の安全の確保を」
レムリア市内では市民が避難していた。その中でエルの母が誘導にあたっていた。
母「みんな落ち着いて、まだ間に合うからゆっくり避難するんだ」
さらには官邸内では大イカのシルビイが興奮して今にも暴れんとし、守衛の兵士が押さえ付けんとしていた。
「こらシルビイ、頼むから落ち着いてくれ」
これらの異変を察し、首相が司令部に駆け付けた。
長官「ああ、参られましたか、首相」
首相「うむ、まさかアトランチスの残党が、この機に乗じて攻めてきたというのか」
「・・・これは言い訳かも知れませんが、これは我がアトランチス本国には何ら関わりがありません」
首相の背後から呼び掛けたのは、アトランチスの皇帝だった。
首相「何者かね、いや、あなたは!?」
皇帝「ムー連邦の首相ですね、わたしがアトランチス帝国の皇帝、ラ・グラースです」
首相「信じられない、まさかこのような場所にアトランチスの皇帝が」
ドラミ「はい、この人は間違いなくアトランチスの皇帝です。私がここまでお招きしました」
さらには何とドラミちゃんが現れた。
首相「君はまさか、ドラえもんくんと同じ」
ドラミ「はい、私はドラえもんの妹のドラミです」
つづく
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