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第2話:汚名<機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズDAWN>

さてみなさん、今回の夏休み企画として4月半ばに特別企画として書き上げた続編企画『鉄血のオルフェンズDAWN』

その第2話をお送りいたします。

ある日謎の老人に託されたかつての悪魔・ガンダムフレームのMSに乗り込んだ暁、弟分であるハッシュの遠縁の少年ラッシュ、そしてもう一人の弟分である雪之丞の息子菊千代(一応名付けましたが)が鉄華団基地跡に立つまでを書き上げました。

思えば原作のオルフェンズ、巷では“任侠ガンダム”と呼ばれたのは言い得て妙なのですが。それならばこのDAWNはいっそ、ガンダムでいわゆる“番長もの”を目指してみようとある程度は考えたものですが。ともかくこれも個人の予想と期待、そしてある程度の出来心で書いたものですから、まずは原作と関係はないことをここにご了承のほどを。

以上のことをご理解の上で、それでは、ごゆっくり。

 

 

かつての鉄華団殲滅戦において、バルバトスが討ち取られた直後、まずイオクの戦死が伝えられ、ラスタルは彼の愚かさを踏まえて悼みつつ、バルバトスとグシオンの回収と、事後処理を火星支部に任せるように指示し、ついで火星外縁のテイワズ輸送船団には鉄華団本部の自爆と団員全員の自決を伝える。しかしすでにアジーたちには昭弘のイオク討伐とともに、ユージンたちの無事が伝えられ、火星本土に降り立った新江もそれを確認していたのだが。

それらの処置を講じた後でラスタルは独語する。

「オルガ・イツカ、三日月・オーガス、お前たちの命をかけた戦いで、仲間たちの命がつながれ、明日を勝ち取った。もっとも彼らのこれからは彼らが決めることだが。

いずれにしても、この勝負、お前たちの、勝ちだ・・・・・」

 

話は変わって、今度は出所したライドがギャラルホルンの輸送機に乗り込んだところまでにさかのぼる。

もともと彼はノブリスを討ち取ったのち、彼の残党との抗争に疲れ、GHに引導を渡されることを望んで投降したのだ。今回の恩赦も元鉄華団の肩書きゆえに秘密裏に処分されると踏み、最期のコーヒーをとカップを片手に佇む彼のもと、モニター越しに現れたのがGH議長ラスタル・エリオンだった。

「ライド・マッス、貴様の境遇にはいささかの同情を禁じ得ぬ」

と切り出したラスタル。そもそも邪魔者となったノブリスの討ち取りを手引きしたことをライドも承知していた。その後の投獄に際してはアーブラウ代表のアレジを通じてタカキ~彼もまた鉄華団出身であることは調べてあった~の口添えもあり今に至ったのだ。

その上で本来標的の一人と狙っていたラスタルもその後の施政から思いとどまり、後のユージンたちの動向をはじめ、すべてを踏まえ自分はラスタルの掌の上で生かされていたとライドはこぼす。対するラスタルは調印式でのクーデリアの言葉を踏まえて、かつて鉄華団はどん底の生から這い上がり人として上り詰めるという夢に殉じ、その上で今の生も彼ら自身が勝ち取ったものと返し、今後の計画のためにと「いずれにせよ、お前にはまだ死んでもらっては困る」と結ぶ。そして半ば観念したライドにとある交渉を持ち掛けてきたのだった。

 

話を戻し暁たちは、雪之丞が経営するカッサパ・ファクトリーにてガンダム3機を回収した後、いつも通りの叱責を受けると思いきや、まずユージンが神妙な面持ちで、かつての戦いを踏まえて自分たちは再びGHとことを構えるつもりはないと告げる。

かくいう暁もそのつもりで、この平和な世の中戦争は好まず、何より母アトラが哀しむのを嫌っていた。その反面このことを父三日月に笑われることも半ば怖れていたが、バルバトスの中の三日月を感じ、それは杞憂に過ぎなかったことを打ち明けるのだった。

ともかくひととおりの説教を受けた三人。とりあえずファクトリーに居を構えるラッシュと菊千代はともかく暁はアトラとともに家路につくのだった。

その後でラッシュと菊千代は雪之丞に工場内に保管されたガンダムの性能についての説明を受け、ことに武装については今の規定スレスレだとも告げられる。その際にヤマギはフラウロスにシノの雰囲気を感じ取り、しばらくは佇んだままだった。

一方暁はあらためてアトラに父三日月のことを聞くとともに、かつて暁が生まれた直後に贈られたマクマードの命名書を見せられ、その上で自分を見失わないようにと諭される。そんな暁も幼いころから後ろ指を指される日々の中、生まれ付いた汚名なら、いずれ名を上げて晴らしたいと、先に感じた父の教えをとともに、あらためて思うのだった。

 

数日後、久々にMWを乗り回す暁たち、しかし先のような無軌道な暴走ではなく、贔屓目に見ても整然としたパトロールといったところ。それは先の悪魔:ガンダムの復活の噂がものをいい、近隣のチンピラもうかつに騒げなくなったこともあった。しかしユージンたちに言わせればそれが一番の心配だったのだ。

そんな中で更に後日、ヤマギの立ち合いでガンダム3機の起動実験を行わんとするのだった。

 

一方で規模を縮小したとはいえ、GHの火星支部は未だ所在しており、その日は地球からの査察を迎えていた。その査察官、正式にギャラルホルンに入隊したボードウィン公妹アルミリアは本土のエイハブウェーブ反応を受け、数人の従卒、実は旧クジャン家の家臣たちを従えて、火星支部長新江の制止をよそに調査のためにと火星本土に降下していく。

それに遅れて地球からの輸送船が火星に向かっていた。そこにはライドと、先年先代ボードウィン公ガルスの後を受けて当主となったガエリオの姿がいた。そこに新江からアルミリアの火星査察に際しての本土降下の報せを告げる。

 

戻って暁たちの起動試験は装備の確認とその実装演習が主な内容である。まずヤマギが独自のルートでつないだ回線で火星支部にこれから行動を報告せんとするが、なぜか回線がつながらない。そこに何とGHのMS、1機のレギンレイズと数機のグレイズが降り立った。先のエイハブウェーブの反応を受けてのことであった。通信が届かなかったのもそのせいである。

この事態を誰何するアルミリアの副官にヤマギが説明するも、やはり信用しきっていない。そればかりか、暁たちのガンダムについて、かつての殲滅戦~ユージンたちは鉄華散華戦と呼んでいた~をもとに出所について咎める。

変わってライド、ボードウィン家の艦の格納庫から1体のMSに搭乗する。不測の事態に備えるためだというが。

戻って火星、譲り受けたというヤマギたちの応えを信じない査察団に業を煮やし、ラッシュが先の“事件”の事情を踏まえてイオクとマクギリスの名をあげて非難する。イオクを“疫病神”呼ばわりされ、はたして旧クジャン家家臣の兵士は激昂しラッシュのグシオンに襲い掛かる。ヤマギも菊千代のフラウロスに乗り込み。前もって調べた高速形態に変形し、ラッシュのグシオンに乗るように指示、グレイズ群を振り切らんとするが。

一方遅れてアルミリアも“疫病神”マクギリスについて憤慨し、襲い掛からんとするが、暁のバルバトスに阻まれる。

「なんたってこうなるんだ」と憤慨しつつも逃げ続けるラッシュ。しかしラッシュの脳裏にとある言葉が飛び込んでくる。

(・・・逃げるな・・・・・!)

その言葉に何かを想い致したラッシュはフラウロスから降り、そのまま踏み止まる。

繰り出されたグレイズのアックスを小型のブレードにてダメもとで受け止めるや、何とアックスの方が斬り裂かれてしまった。これこそ3機のガンダムに装備されている、微細かつ高速振動で切断力を格段に向上させたプログレッシブブレードであった。その威力にラッシュも何かを思いつき、両肩と腰部のアーマーから隠し腕を展開しグレイズ群に立ちはだかる。

一方でアルミリアと対する暁。アルミリアのレギンレイズ・ジュリア改はかつてバルバトスを討ち取ったMSを継承した、まさに因縁の機体だった。それを知らずか暁はよくよく戦いを進めていく。機体の性能はもとより、パイロットの技術も申し分ない。しかしアルミリアの迷いを読み取り、その隙をつき、両肩の翼状のパーツから繰り出されるツインテイルブレード~小型のプログレッシブブレードを有したそれを駆使してレギンを切り裂いていく。やがて手足を切り裂かれむき出しのコックピット内で怯むアルミリアに、暁はテーザーを片手に戦闘停止を勧める。怯えつつも拒む彼女に、

「俺も死にたくないんだ、あんただって死にたくはないだろう」

そのドスの利いた口調で告げられれば、アルミリアももはや沈黙するしかなかった。一方でグシオンとフラウロスはグレイズ群をブレードで解体し無力化させたのだった。

そこに1機のMSが降り立つ。ギャラルホルンのヴァルキュリア・フレームのMSブリュンヒルトである。そこに発せられた声はライドの声だった。

悪名高いテロリストとして知られた彼を怖れるラッシュと菊千代。しかしヤマギは懐かしげに彼に近づく。そんなライドはこの事態を予測して調停役を買って出たのだ。そしてそのまま撤収を持ち掛け、皆がそれに従うのだった。

暁たちが去りややあって、遺されたのは無力化したMSの残骸とその前に力なく佇む兵士たち、そしてレギンレイズのコックピットで泣きじゃくるアルミリアの姿。駆け付けた車いすの男ガエリオは、残骸の一部に書き残された暁たちの書置きを見やり、何故か微笑を浮かべるのだった。

 

次回、機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズDAWN

“世界を知れ”

あの時生き延びた俺は常に死に場所を求めてきた。俺の残りの人生、お前にかけよう、暁。

 

一応のキャラクター設定

菊千代・カッサパ(声:花江夏樹さん(希望)・フルネームは未定です):雪之丞とメリビットの息子(原作最終回で雪之丞に背負われていた)で、幼いころから父雪之丞の薫陶を受けメカニックの腕はともかくMWの操縦にもたけていた。

長じて暁やラッシュらと親交を持ち、ラッシュとともに暁の弟分となったがひとまず友人として対している。なにかと先走る二人のたしなめ役としてグループをまとめ上げたのだが。

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