ドラえもん・オリジナル大長編:のび太と海底帝国(その2)
ドラえもんとのび太くんがルウに言われるままにいつもの空地にみんなを呼んでいった。
ジャイアン「おう、のび太、一人だけ休むなんてずるいぞ。今までまた昼寝してたのか」
ルウ「まあまあ、そういえばみなさん学校で何があったか話してくれますか」
スネ夫「うん、みんなが学校に行ったとたん、先生が階段から落ちて授業は中止になったんだ」
のび太「そ、それで女の人は」
スネ夫「女の人、何それ、また寝ぼけてんじゃないの」
ドラえもん「のび太くん、やはりみんな覚えていないじゃないの」
のび太「ああ、そうだった」
そこにしずかちゃんもやってきた。
しずか「ごめんなさい、出木杉さんが学校に行ってすぐに気分が悪くなって、おうちに戻してお見舞いしてきたから遅れちゃった、ってルウさん、いったいどうしたの」
みんなが集まったのを見計らい、ルウが口を開く。
ルウ「ようやくみんな集まったようですね、それでは・・・・・」
エル「今までのことを追って説明するよ」
ルウが説明しようとするも、なんとエルが私服姿で現れた。
ルウ「え、に、兄さん」
エル「隊長と呼びなさい、ルウ一人じゃ心配だったんだ」
ルウ「もう、またリムに任せっきりにしたんだね」
ドラえもん「まあまあ、それでアトランチスの復活っていったけど一体どういうこと」
エル「うん、アトランチス人が生き残っているのは前々から調べていたけれど、というより大昔、アトランチス帝国が滅びた後、アトランチス人の一部は再び地上に戻って地上人に文明を伝えたんだ。たとえばギリシャの学者やらローマの政治家たちやら、歴史に名を遺した人物の中にアトランチスの末裔も関わっていて、地上の文明を創ったんだ。これは君たちが覚える必要はないけどね」
しずかちゃんはこのお話は出木杉に教えてあげたいと思ったが、その必要はないと思ってすぐに思いとどまった。
エル「さておきアトランチス人について、僕たちが鬼岩城を滅ぼした後で大西洋を中心に異変が見受けられたんだ。それはルウが言ったとおりだけど」
のび太「それであの女の人か、って覚えてないのか」
スネ夫「さっきから何言ってんだ」
ルウ「まあまあ、その話はあとで」
エル「ともかく、彼らの動向を調べなきゃいけない。鬼岩城が滅んでやっと自分たちが自由に動けるようになったから、その動きをじっくりと調べなきゃいけない」
ドラえもん「それで、今どこに行けばいいの」
ルウ「ここから歩いて4時間ほどの岩場に潜水艇を置いているから」
のび太「えー、そんなに歩けないよ」
ドラえもん「そんなことがあろうから、とりあえずこれで」
と『どこでもドア』を出して、みんなそこから潜水艇の岩場に移動する。
岩場から潜水艇に乗り込み、潜水艇は一路パナマの海底運河へと向かう。
エル「パナマまで2、3時間くらいだけど、のび太くん、君が言っていたその女の人って、本当にアトランチスの王女って名乗ってたよね」
のび太「うん、先生を軽く投げ飛ばしたり空を飛んだり、ほんとすごくて怖かったよ」
エル「それに記憶を操る能力か。僕らの科学技術も地上より幾分か進んでいるけど、彼らはそれ以上とはこれも信じられないな」
リム「でも本当に彼らだけか、それも調べなきゃいけないけど」
ドラえもん「あれ、船の操縦はどうしたの」
リム「今ルウが動かしているよ、ルウも訓練していたからね」
のび太「なるほど、すごいなあ」
エル「詳しいことは省くけど、これもわが国では当たり前のことさ」
そうこうしているうちに船は海底運河へとたどりつく。
エル「さあ、ここを抜ければもう大西洋だ」
しかし、運河を抜けると、無数の戦艦が待ち構えていた。
エル「何だって、これはまさか、アトランチス軍の戦艦」
ルウ「バトルフィッシュとはちょっと違うけど」
のび太「ボクたちを待ち構えたのかなあ」
しずか「こわい」
その一番大きな船から、円盤状の物体に乗り、ジェルのカプセルに包まれた一人の紳士が現れる。
のび太「なんだろう、あの人」
ドラえもん「きっとすごく偉い人みたいだ」
リム「おそらくは、まさか・・・・・」
その紳士がエルたちの船に向かって厳かに告げる。
紳士「わたしがアトランチス帝国皇帝、ラ・グラースである。我がアトランチスのいにしえの軍事施設、鬼岩城を沈黙せしめたのは諸君らか」
スネ夫「き、きっと僕たちを捕まえに来たんだ」
ルウ「あ、兄さん」
エル「まずは僕が会ってみるよ、でももしものことがあったら」
ルウ「うん、でも無事に帰ってきてね」
潜水艇からエルが出てきて皇帝の目の前に立つ。
皇帝「うむ、君は」
エル「ムー連邦軍隊長、エルです」
皇帝「そうか、他の者はあの船の中にいるのかね」
エル「・・・はい」
エルの返事に皇帝は片腕を添えて一礼する。
皇帝「よくぞ参られた、積もる話はあると思うが、まずは君たちを歓迎しよう」
あっけに取られながらも、一行は皇帝の船と同行するのだった。
つづく
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