ドラえもんとゆかいな仲間たち:佐江内氏とウルトラスーパーデラックスマン、そしてパーマン
先月から絶賛放映中の『スーパーサラリーマン佐江内氏(原題:中年スーパーマン~)』。今回はこの場を借りてもう一つの名作『ウルトラスーパーデラックスマン』と『パーマン』との対比を踏まえての考察をお送りしたいと思います。それでは、ごゆっくり。
まずは両者のあらすじから、ある日平凡なサラリーマンだった佐江内氏が、とある男にスーパーマンの力を託され、家族のためにその力を行使する。
かたや日常のやるせない気持ちとひとまずの正義感が蓄積して、偶然超人的な力を手に入れた句楽兼人は、世の中の不正を糺さんとその力を行使する。
その帰結についても述べるに、佐江内氏は使命に苦悩しながらもひとまずはこなし続け、句楽は自らの力に溺れ破滅していった。
この違いはどこから生じたのか、それはキャラクターの違いといえばそこまでだろう。
次に力がほしかったか否というのもあっただろうし、あとは関わった人々も決め手になっていた。佐江内氏にはかえりみるべき家族があり、ために“仕事”をし続けられ、日常との関わりを保てたことだろう。
一方でもともとひとりぼっちなのを力のせいでますます孤独の度を強めていった句楽。たまに話し相手を求めんと片山に思いを打ち明け、ひとまずは聞き入れてくれたが、結局は見放されてしまった。
最後見逃せない要素として、USDマンは76年に、佐江内氏は78年ごろに、つまりはUSDマンの後に佐江内氏が発表されたということで、ある程度USDマンの反省から佐江内氏が描かれたともいえるだろう。
もう一つパーマンとの比較は、とあるエピソードでパーマン4号のパーやんと出会うシーンがあり、その関連でということで述べてみたい。佐江内氏の能力の一つに、自分を見たものはしばらくすれば忘れてしまうというものである。それについては、ある程度子供っぽいいい加減さで選ばれたパーマンたちにも一応厳しいおきてがあり、自分たちの秘密を知られたものは消される(意訳)というのがそれである。こういうのも『スパイ大作戦』やらをオマージュしたものだろうけれど。後にそれが狙いすぎだったと感じたのか、佐江内氏のその能力やら『TPぼん』のフォゲッター(自分の存在を忘れさせる道具)が考えられたのだ。そういえばパーマンも60年代、つまりは佐江内氏以前に活躍したヒーローだったこともひとまず関係したのだろう。
ともかくも超人として生きる男の日常が描かれた傑作として心にとどめておきたい一作でもあると思うのだけど。
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