ドラえもんとゆかいな仲間たち:藤子・F・不二雄の怖い話
さて先月コンビニ文庫として発売された『藤子・F・不二雄の怖い話』、まあたしかにそれなり怖い話が掲載されているけど。あえてナンクセ交じりで評すれば、たしかに作画と演出のインパクトだったら怖いかなといった印象で、お話の内容はちょっと斜めに構えているなといった具合。見ようによってはF先生のちょっとした“狂気”も感じられるかということで。そういえば当時はA先生と一緒に仕事をしていたからその影響も受けていたのだろう。そしてそれらが後の後期作品に影響を及ぼしていると見れば、笑えない事情だけれども。
ともあれはじめは短編集から。『ノスタル爺』は偶発的なタイムスリップもので、運命を変えようとして変えられなかったお話。
『じじぬき』は偏屈な老人が死と黄泉返りを通じて家族から離れていくお話を描いていった。
『ミノタウロスの皿』『ヒョンヒョロ』は意思や考えが噛み合わない悲喜劇を描いたお話といった具合で。
やはりよく読んでいくうちに怖さよりも次第に滑稽さを感じてしまうのは編者だけではないはず。
続いて後半の連載マンガにて、まず『魔美』と『パーマン』は多少怖いと思わせて、タネを明かせばこんなものかといったところ。
そして我らがドラえもん。『かげかり』は初期のお話で自身の影と次第に入れ替わっていくということで軽く怖かったかなという具合で。
次の『家がだんだん遠くなる(すて犬ダンゴ)』はダンゴを食べて家に帰れなくなるお話で。当時の捨て犬が野犬に堕する問題を軽く描いたお話と受け止められる。
最後『デビルカード』にては身長の代わりにおカネが出てくるカードを通じてアクマのしたたかさにひとまず怖さを感じたけど。最後ドラえもんの機転とのび太くんのさらなるしたたかさが勝ったかなといったものであった。
ともかく編集企画した意図はともかく、F先生の作品について、違った味わい方を提議したことに意義を感じるべきではないだろうか。それがヒネくれた意見かはやはり皆さまの判断にお任せするとして。
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