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予想企画小説・ファイナルファンタジー・タクティクス・ジ・アフター(その3)

さてみなさん、今回もかのシミュレーションRPGの名作FFTの続編予想FFTAの第3弾をお送りいたします。今回はアグリアスが引き取った少女をめぐるディリータとの確執を巡るお話をお送りする運びです。なお何度も申し上げますが、この記事は当ブログでの創作で実際の作品とはひとまずは関係してはおりませんのでご了承のほどを。

ということですので、それでは、ごゆっくり。

 

・ハイラル王家の勃興

獅子戦争の後、戦乱によって倒壊したオーボンヌ修道院は前よりは規模が小さくなったとはいえ、復興を遂げた。

その院長にはかの聖騎士アグリアスが就任することとなった。彼女も戦後しばらくは身を隠していたが、後に処刑前のオーランの説諭によって就任を決めたのだ。それは彼女とラムザとの関係は知られていないこと、加えてヴォルマルフたち聖堂騎士団が彼女自身には気を留めなかったことが幸いしたのだ。あと配下の女騎士アリシア、ラヴィアンはそれぞれ他の仲間たちと結ばれ、今では“隠れ里”で生活をしていたが、時折はアグリアスと連絡を取り合ってもいた。

そんな折“隠れ里”から商人に身をやつしたラッド、かつて暗黒騎士ガブガリオンの腹心で彼の死後はラムザとともに戦い抜いた彼が訪れる。

「久しいな、ラッド」

「アグリアス様もお変わりなく。アリシアたちも元気でやっておりますよ」

「そうか、それはよかった。いずれにせよ今後とも気を付けろ。いつ“奴”の気が変わるか知れたものではないからな」

「まあ、大丈夫だと思いますが」

ふとラッドは傍らの幼い少女に目をやるのだった。

「おや、その子は一体」

ラッドの視線を感じ、少女はアグリアスの傍らに寄り添う。アグリアスは少女の頭に手をやって応える。

「数年前、修道院の前に行き倒れた女人に抱かれた赤ん坊がいて、私がその子を引き取り今に至ったのだ。思えばオヴェリア様はこの子を育てよとお命じになられたと私は信じている」

「へえ、そうなんですか」

「だから、この子が大人になるまで、大切に育てねばならぬ」

ラッドもアグリアスの真心を感じ、この子が平和に暮らせる日々が永く続くよう心の底で祈るのだった。

 

時は流れ、その少女が10歳の誕生日を迎え、いつも通り修道院の裏庭で遊んでいたある日。壮年の騎士が訪れ、少女の前に立った。

「あの、お客様ですか、院長先生は中におられますが」

「いや、通りすがりの者だが・・・そなたは、まさか、いや・・・・・」

その騎士はふと少女に目をやり、ひとまず少女を見つめていた。その目には何か光るものがあった。

「ええと、あの・・・あ、涙、一体どうなされましたか」

「・・・いや、昔を思い出してな・・・いずれまた会うこともある。それからこのことは他言無用にしてくれ。それでは・・・・・」

騎士はそのまま去っていった。

「あの人、院長先生のお仲間の人かしら・・・・・」

去りゆく騎士の背を見届けつつ、少女はただ思いを募らせるのみだった。

数日後、異変はさりげなく訪れた。修道院に騎兵の一小隊が近付いてきたのだ。

事態はすぐさま病の身をベッドに横たえるアグリアスのもとに知らされた。

「た、大変です、修道院に王国兵が1個小隊を引き連れて、その先頭に、こ、国王陛下が・・・・・」

「何だと、ディリータが、まさか・・・・・」

修道院正門前、その日も外で遊んでいた少女の前に、あの時の騎士を中心にした騎兵隊が並び立っていた。

「国王様の兵隊さんたちが一体何の用だろう、あれ、この前の騎士様」

少女が件の騎士に近づこうとした時、

「控えよ、こちらにおわすお方は・・・・・」

「よい、久しいなお嬢さん。此度は改めてそなたを迎えに来た」

少女を止めようとした兵士を制し、その騎士、威国王ディリータが馬から下り少女に近づこうとした時、

「待て、ディリータ」

「い、院長先生!?

なんと病身を押してアグリアスが剣を握り出てきたのだ。

「・・・・・!」

「控えろ、どうせ刺す気はない」

兵士たちもディリータを護ろうとするもこれまたディリータに制せられる。そしてアグリアスに向かって語り始める。

「アグリアスよ、剣を持ったままでいいから俺の話を聞け。俺がこの国を収めてもなお内外では乱れが収まらぬ。もし俺が死んだなら誰がその後を継ぐ、誰がこの国の乱れを収める。国の乱れを抑える器がまだ必要なのだ。そのために俺の後を継ぐための器としてその子が必要なのだ」

「・・・そのためにその子をオヴェリア様の後釜に据えるのか、貴様は私からオヴェリア様だけでなく、この子までも奪うつもりなのか・・・・・」

「この短剣は何かわかるか」

と、錆びた短剣をアグリアスの前に放り投げる。

「こ、これは・・・・・」

「そうだ、これはお前がオヴェリアに手渡したものだ、これはすべての不幸の始まりだったのだ。それにだ、俺もオヴェリアだけでなく、かつては妹を混乱で失った。あの時お前と誓ったのは、かつてその妹にも誓ったものだったのだ。そして今、その子に妹の面影を感じた。だからこそこの子に会ったとき、あの時の誓いをもう一度果たす機会と感じたのだ。だからアグリアスよ、その剣を通じ、お前も阻むことはできぬはず。あの誓いは、お前自身の誓いでもあるからな」

「・・・・・」

アグリアスも力が抜けたのか、腰を落とし剣から手を放す。そして少女が寄り添っていく。不安そうにディリータの方を向きながら。

「お前はこの子をオヴェリアの後釜にするのかと言ったが、たしかに俺はこの子を養女に迎えるつもりだ。だができる限り不幸せにはせぬよ」

もはやアグリアスは何も言うことができなくなった。そして少女に向いて祈るように言葉を発する。

「いずれにせよ、心の準備もあろうが、この国を救うため、俺を、助けてくれ」

と告げた後、ディリータの号令で騎兵たちは去っていき、ディリータも名残惜しそうに修道院を去っていく。

 

それからしばらくして、アグリアスの病状は悪くなり、少女の献身的な看病もむなしくその命も尽きようとしていた。

「・・・私は、かつて己が忠誠を誓ったオヴェリア様を、そもそもがディリータへの不信からだが、自らの過ちで死なせてしまった。だが、あ奴が言うようにもはやそなたを止めることはできなくなった」

「院長、先生・・・・・」

少女の後ろには彼女の危篤を知らされ、アリシアたちも隠れ里から駆けつけてきた。この時点ですでに里はディリータの介入の怖れがないことは明白だった。

「私が死んだあと、引き出しにある遺言がある。それをどうか果たしてほしい・・・・・」

「アグリアス様・・・・・」

「それから、どんな時でも、自分の幸せを、人々の幸せを、忘れないでほしい。そして、ありがとう、私の、娘・・・・・」

その後アグリアス様は眠るように息を引き取った。彼女の死後、オーボンヌ修道院は焼き払われ今度こそ廃れていき、跡には後年遺跡公園が建つようになった。

 

ほどなく少女は王宮にその身を委ね、ディリータの養女となった。後に彼女がディリータに連なるハイラル王家の祖となるのだが、それはまた次回。

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