ガンマンのび太<本当は怖いドラえもん>
さてこの場を借りて、あらためてのび太くんの特技の一つに“射撃”がある。これについて様々なお話で活躍したことは枚挙にいとまがない。
しかしそんな射撃についても、先生曰く「当たると必ず何かを壊してしまう射撃が唯一の取り柄だとは、本当にダメなやつだ」とのことだけど、これを発言した時期はともかく、これも初めから自虐的にのび太くんをこき下ろしているわけではないと、つまり言い換えれば「何かに当たっては壊してばかりのダメなのび太でも、射撃に関しての取り柄がある」といった意図で言っていたと編者も信じたい。
たしかに射撃の技術は主にスポーツやレジャー、物騒なところで戦争や犯罪等では役に立つけれど、実生活では役に立たないのではないか、と読めでしまうだろう。実際射撃に必要な技術はまず集中力が挙げられる。その次に洞察力と動体視力といったところか。
その集中力や洞察力は実際の勉強に、動体視力は運動にも役に立つことはいうまでもないけれど、それらはそもそも本能又は嗜好的要素が絡んでの才能発揮ともよめる。
たとえば、かのテレビゲームのゲーマーの草分け的存在である伝説的な漫画『ゲームセンターあらし』(すがやみつる先生)の主人公あらしは、勉強もスポーツもからっきしだが、ことテレビゲームに関しては超人的な能力を発揮できる。つまりは本能によって才能が開花するというシチュエーションと考えられる。たしかにご都合的な展開ともいえるけれど、これがモロにのび太くんにも当てはまるならば、結局銃を持たせれば能力スイッチが入ると、今風に述べられる。
ともかくも射撃等の才能とそれに裏打ちされた能力について、残念ながらその奥深くまではF先生も気が付かなかったきらいさえあったと結論付けられるのだが。
ともあれ本来持っている集中力等の才能は小さな努力で何とか伸びることはF先生はともかく読んでいた読者だって感じているだろうし、F先生だって実際後期にいたって少し躊躇したものの努力の大切さを通じて十分に承知しているものだとは思うのだが。
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