世の中いじめっ子だらけ:新・出木杉英才くんの場合(その4)<本当は怖いドラえもん>
そういえば大長編において出木杉くんは、どちらかといえば端役扱いになっている。その理由としてまず、出木杉くん自身がある意味唯物主義者ということを挙げたい。
例えば『魔界大冒険』にて現実世界において魔法の歴史を述べた後で「魔法は存在しない」と断言して、その後魔法の世界に移行してからはその存在が忘れられたことにあらわされるように、初登場となる大魔鏡にての序盤ではお話の世界観についてのウンチクを述べてある程度の役回り程度で、非日常の舞台である大長編にてはやはりどうしても浮いた存在になってしまう。ただ例外中の例外として、創世日記における出木松博士として関わっているけれど。
ともかくも、そんな唯物主義者でもある出木杉くんだけど、あくまで科学的見地からとはいえ、未来の世界のふしぎにはむしろ興味は持っていることも挙げておきたい。
それに関連して、というわけか連載漫画にて、中盤辺りならば出木杉くんだってのび太くんの役には立っている。
『人間ブックカバー(27巻)』では物語を読んで聞かせ、やがてはのび太くん自身が進んで本を読むようになったし『羽アリのゆくえ(25巻)』ではのび太くんがありの観察をたしなめるようドラえもんに頼まれたが、かえって観察のアドバイスを担うようになったりと、いずれものび太くんの知的好奇心を促すきっかけとなった。
また『宇宙大魔人(20巻)』では映画製作の重要な役目を担っていることも挙げたい。もっともそれと同じ話の大長編『小宇宙戦争(84年)』冒頭の理屈でケチがついてしまったけれど。
それらの事情が後期になっての当て馬が絡むとんち話に流れてしまったのも、まずのび太くんの責任である前に結局F先生の不安の虫が騒いだことも述べておきたい。
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