ONE PIECEオリジナル:エピソード・オブW7アフター(その5)
魚人島の王子、後の海神王ネプチューンが後の右大臣の兵士を伴い魚たちが集う先に向かっていた。
「しかし魚の数が多くなるはいいが、なんだか大きくなっているんだもん」
「たしかにこれは魚の王者たるジンベエザメ。それが中心となってますな」
とにかくその地にたどり着くネプチューンたち。ジンベエザメが集う中心には若い人魚と子供の魚人、ココロがジンベエに何か言い咎めていた。
「この魚は一体、ジンベエ、おまえ何したの!?」
「お、おいら魚呼ぼうと思って練習してただけだよぉ!!」
そこにネプチューンたちが近づいてきた。
「おお、ミズ・ココロ、相変わらずご機嫌麗しいんだもん」
「何やらその子がしでかしたみたいかな、これ坊や、あまりミズ・ココロを困らせてはいかんぞ」
「ああ、これは王子さま!?」
ネプチューンたちに気付いたココロはジンベエの頭を下げさせて自分も恭しく礼をする。
「王子さま、この子も悪気があってこんなことをしたわけじゃ・・・・・!!」
「何と、このボウズがかもん!?」
ようやく事態の詳細を知り、ジンベエに近付くネプチューン。たじろぎながらもジンベエも見据え返す。
「これボウズ、お主の名前は何だもん?」
「え、っと・・・ジンベエ、ジンベエザメのジンベエ」
「うむジンベエかもん、魚人の身でこのような魚を呼ぶとは、まことあっぱれだもん!!」
と、ひとまずジンベエの行いを称賛するネプチューンだが、
「でもいくら強くなりたいからって、そんな人騒がせなことを・・・・・」
「うむ、強さには義しさが必要というのは道場の老師の教えですからなあ」
とココロと後の右大臣はジンベエをたしなめる。
「うん、老師だけじゃなく、オトヒメにも言われたんだ」
オトヒメの名に反応し、ネプチューンがジンベエに言い寄る。
「おう、オトヒメはおれの許嫁だもん。お主知り合いになったのかもん!?」
「こ、声掛けられただけ・・・・です!!」
「いずれにしてもお主は気に入ったもん。どうじゃ、おれの口添えで王国の兵士にならんかもん」
「え、おいらが兵士に!?」
「よかったじゃないかジンベエ、ただ強いだけじゃ王国の兵士になんかなれねぇもんだよ」
「ふむ、わたしも異存はございませんが、この子はいまだ幼いゆえ、あと数年は老師に更なる修練をつけてからでも遅くはございますまい。それでよいかな、少年」
「あ、はい、よろしく、お願いします・・・・・!!」
というわけで、ジンベエの数年後の入隊が内定されたのだった。
その後着実に修行を積み、強くなっていくジンベエ。しかしタイガーが冒険の旅に出て、ココロが船大工の修行に出たトムを追って、一緒に島を後にした。
ジンベエもその寂しさを秘めつついつしか子供たちの束ね役として成長した。
「ぼくもジンベエをみならって、いっぱいしゅぎょうするぞ!!」と近所の子供ハックが、
「おれは武術の他に学問だな。おれなりにみんなの役に立ちたいんだ」と親友のアラディンが、
「トムの代わりにこいつを一人前に育てねェとな」と未だ赤ん坊のデンを兄弟子の大工が、それぞれジンベエを規範に新たな道を歩み出す。
しかし子供とはいえアーロンだけは、
「王国の兵士だなんてだせェな、おれは海賊になって目障りな人間どもをすべてやっつけるんだ」と一人息巻いていたのだが。
ともかくも数年後、ネプチューンの即位とともにオトヒメとの婚礼に合わせ、入隊間もないジンベエの姿があった。
回想終わって再びシフトステーション。
「成程な、だったらそのジンベエが今いるのは、ココロのバーサンのおかげってわけか」
「んがががが、それほどじゃねェよ」
ここでパウリーは一つの疑問を呈する。
「ところでそんなジンベエがどうして海賊なんかになったんだ」
「うん、そいつァあたしの口からは言えねェなあ・・・・・」
その寂しい口調にパウリーもやけに納得し、それ以上の詮索はしなかった。
ともかくもルフィたち麦わらの一味は、七武海ジンベエと出会うことになるが。それは大いなる事件の後になることは、この場では語るまでもなかった。
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