世の中いじめっ子だらけ:新・出木杉英才(ひでとし)くんの場合(その1)<本当は怖いドラえもん>
さて今回は、中後期からの準レギュラーとしてご存じの出木杉くんについて多少はヒネくれながらも述べたいと思います。これは先の記事をもう少し吟味して再び形にしたもので、今回を含め2、3回ほど断続的にお送りしたいと思います。
さて、たびたびキャラや事項ごとののび太くんへのいじめを挙げたけれど、さらにもう一人首級を挙げたいキャラがいる。出木杉くんである。
そもそも彼は連載開始10年目ごろにのび太くんの恋のライバルとして初登場した。それ以前もたびたびそういうキャラが現れたが、やはり同年代ということだけあっていつの間にか彼が準キャラとして定着してしまったのだ。まずは彼が初登場するお話を中心に述べることにする。
『ドラえもんとドラミちゃん』
最近しずかちゃんが優等生の出木杉くんと仲良くなって自分には冷淡になったと感じ面白くないのび太くん。
そこでドラえもんに何とかしてもらおうとするも、ドラえもんの定期点検やら心配でやってきたドラミちゃんとのいざこざやらでうまくいかない。
そうこうとしているうちにしずかちゃんと出木杉くんがいい雰囲気で過ごしていった。
そんな二人を遠目にのび太くんは「これから挽回していこう」と意気込んでいくのだった。
このお話からこの後も何かと出木杉くんに気が向いているしずかちゃんを振り向かせようとするシチュエーションが今後の指針となったわけだけど。
しかし藤子F先生も彼に情がめばえたか、何とか見返してやろうと、のび太くんもあの手この手を尽くすも結局は失敗してしまうは、挙句の果てには後述の『冒険ゲームブック』等のお話でのび太くんが出木杉くんの当て馬になってしまうはのお話に流れてしまった。これも後期お決まりの文句で「結局道具に頼りすぎるのがイケナイ」やら「人をうらやむことはいイケナイこと」という言い訳でシメたものだが。つまりは本来主役であるのび太くんが引き立て役になってしまったほどの良キャラということで。
ともあれこれらのお話のみを読めばF先生が読者にウソをついていたともとれるのだが、それでも『雪山のロマンス』で最終的にしずかちゃんと結ばれたいきさつや『しずかちゃんをとりもどせ』ではその後の出木杉くんの家族との交流を描かれたお話にてF先生もしっかりと説明の責任は果たせたと思っているし編者をはじめ多くの読者もそう思っている。
もっとも「道具の力で何とか活躍できた後でズッコケる」というお話がしばしばあるように「説明の責任は果たしたから、その後でズッコケたお話を描いてもいいかな」といった認識を先生は持っていたかなといったことも述べておきたいが。
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