オリジナル大長編:のび太のからくり城(最終回)
さてみなさん、永らくご愛顧されました『のび太のからくり城』も今回で最終回。
もともとドラえもんとキテレツ大百科とのコラボレーションを目指して創作され、ついでTPぼんも加わってようやく完結にこぎつけることとなりました。それでも少しばかりは手を抜いたかなとも思いそれは反省すべきことかもしれませんが、そこのことろはご了承いただければと思います。
さて前置きは長くなりましたが、ともかくも、それでは、ごゆっくり。
いままでのあらすじ
のび太くんの活躍とポンたちの介入によって大電皇とからくり城ははるか宇宙の彼方へと去っていき、ポンたちも事後処理にひとまず心を砕いた。そしてコロ助はポンたちの提案で現代に戻されることとなり、お殿様と鶴姫と別れを告げた一行はポンたちパトロールの巡視船によって現代に送られることとなった。そしてお殿様と鶴姫は自分の子孫とのび太くんたちとの再会を胸に抱くのだった。
まずはのび太くんや英一たちを現在に戻した後でのポンたちの帰還の途、巡視船では一連の事件を解決した疲れか、操縦席に腰を下ろしくつろぐポンと、後ろの控え席でリリムとユメヨもくつろいでいた。
「さてと、何とか事件は解決することができたな。早く戻って休みたいよ」
その時、通信が流れてきた。
「・・・せよ、応答せよ、ポン、ユメヨ・・・・・!」
通信は壮年の男の声で、何やら必死に呼びかけているようだ。それに気づいたユメヨが通信のスイッチを入れる。
「あれ、おじいちゃん」
「うむ、長官と呼びなさい、さっきから通信が途絶えて、一体なにがおこったのだね」
通信の主はタイムパトロールのウエキ長官でポンとユメヨの祖父にあたる人で、もちろん、かのTP救助隊のぼんの子孫でもある。
その長官に隊長のリリムがこれまでのいきさつを説明する。
「なるほど、木手博士の件かね。たしかにからくり城の事件はその案件が判明するまではその秘密は保持されていると判断していいのだがね」
「でも本当にいいのですか」
「なあに、ドラえもんとのび太くんたちは今までの事件をかんがみて信用のできる人たちだ。それは承知の上だよ」
「うん、まあ、そうですね」
「ともかく三人とも帰還しだいゆっくりと休みなさい」
とまあ最後、長官の心づくしの言葉を受け、元の時代へと帰還するのだった。
変わって英一の家、結局元の時代へと戻ったコロ助とまた一緒に暮らすこととなった英一だが。
「これで奇天烈斉さまの研究は振り出しに戻ったね」
「でもどうするナリ、キテレツ、大百科はなくなっちゃったし」
「大丈夫だよコロ助、今までの発明から奇天烈斉さまの科学を学んだことだし、これからは僕自身が新しい大百科を作り出すんだ」
「さっすがキテレツナリ、ワガハイにも手伝えることないナリか」
「それより見てよ、大百科なしで造った、僕のオリジナルの発明品を」
と、英一は押し入れの中から一つの箱を取り出す。そこに自分の力で作り上げた発明品があるのだ。
余談ながら英一がそれらの発明品からドラえもんのひみつ道具の数々が発明されることとなったのはここで述べるまでもなく、ついでに言えばそれらから先の『ひみつ道具博物館』のお話に連なることをここに述べておきたい。
そして我らがのび太くん。事件を解決し、世界は元の歴史に戻って何事もないかのごとく時が再び流れていく。それからしばらくした後で、あの遠足で訪れたあの神社はどうなったのだろうと再び訪ねようとした。しかしそこの神社どころか建っていた山ごとだいぶ削られていたのだ。
「あれ、どうして神社も山もないのかな」
ひとまずその削られた大地へと降りるのび太くん。そんな時、工事作業員のおじさんがのび太くんに近づいてきた。
「おい坊や、ここは新しい宅地に造成するんだからこんなところで遊んじゃ危ないぞ」
「まあ待ちなさい、君は確か、のび太くん、かね」
続いて、もう一人のおじさんが現れた。
「ああ、これは社長」
「あれ、お殿様」
よく見れば昔の時代のお殿様によく似ていた。
「はっはっは、わたしも時々そう呼ばれるのだよ。ところで君のことは前々からよく知っているよ、それからこちらが娘の姫子だ」
紹介された傍らの女性は、たしかにあの鶴姫にそっくりだった。
「本当によく来てくれました、のび太さん」
「あ、どうも・・・。(でもどうして僕のこと知ってるのかな?)」
のび太くんもひとまず疑問に思ったけれど、ポンの言葉を思い出し、口にはしなかった。彼らは確かにお殿様と鶴姫の子孫だったのだ。そんな折、もう一人の中学生の人が現れた。
「ええと、この辺は、って、あれ、迷っちゃったかな」
「あつ、ポンさん」
「えっ、僕はぼん。並平凡っていうんだ。でもふしぎだな、君とは前にあった気がする、けれど・・・・・」
「そ、そうかなあ」
それからのび太くんは社長と姫子、そしてポンの先祖のぼん~実は彼こそがタイムパトロールのぼんだったのだ。けれど、お互いの素性は知らせずに談笑(楽しく話し合うこと)して時を過ごした。しばらくしてドラえもんが飛んできた。
「おーい、のび太くーん」
「あ、ドラえもん」
「ママが心配するからもう帰ろう」
「うん、それじゃ、お元気で」
「また、お会いしましょうね」
と、社長と姫子、ぼんたちの見送りでドラえもんとのび太くんは飛び去っていった。
飛び立つさまを特に見上げていた姫子、そして時は流れ、ひみつ道具博物館の中でとある肖像画を見上げていた一人の女性がいた。そこに同僚の女性職員が話しかける。
「チヅル、もうすぐ開館の時間よ」
「あ、はーい、今いきます」
彼女は鶴姫、姫子の子孫であるチヅル。この博物館で働いているのだ。そして彼女が見上げたのは、木手博士こと成長した英一の肖像画だった。
部屋を後にする前、肖像画の下に展示された、一体のロボットのレプリカにチヅルは話しかける。
「それじゃ、またね、コロ助・・・・・」
完
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