のび太の堕落論~やはりまともに成長できないのか<本当は怖いドラえもん>
さて今になっては当たり前のこといえるだろうけれど、ドラえもんの連載開始から40余年、のび太くんたちはいつまでたっても小学生のままであった。だからというか、のび太くんは成長しないことになるのだろうかを、先の『ダメのままでいたいのか』とあわせて、もう一つのダメの要素になっていることについて考察したい。
まずはこのお話の冒頭のみながらお送りしましょう。
『まんがか』
ある日、将来のなりたい仕事について考えるにあたり、タイムテレビで将来の自分を見たのだが、先生の場合は生徒に分からない字を教えてもらおうとしたり、お医者さんの場合は患者がはだしで逃げてしまう。などなど惨たんたる(とんでもなくひどい)結果になったそうな。
そもそもこのお話は最初期のギャグを専らとしたけれど、その中冒頭のくだりにて、
「ダメなやつは大人になってもダメなやつだ」という文句について、先の理由で笑い飛ばしてもいいけれどあえて真面目に読むならば「のび太は大人になっても成長しない」と読めるだろう。
たしかに成長できないのは、まずのび太くん自身の責任だということは誰しも認めるところ。その反面もちろんその当時のF先生の見解でもある、つまり先の『ダメのままでいたいのか』と同様に「そうそう成長させなくてもいいだろう」といった見解かもしれない。それが時期を経てそれでは意味がないということで、中後期のとんち話は言うに及ばず“成長”を描いたお話もいくらか描いたことだし、40余年の連載の中である程度の欠点も残しつつ、のび太くんだってちゃんと成長していると感じている読者だっているはずだ。
もう一つ『答え一発!みこみ予ほう機』にて、いろいろと見込みや可能性を調べていずれもダメだという結果でも結局は努力次第で何とかなると描いている。
つまりはどんなダメな人間でも、成長次第で、どんなに悪戦苦闘しようともいくらかでも伸びる、ということで。
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