タイタニア反省会
さてみなさん、今回は昨年冬に最終巻が発売された『タイタニア』について軽めながらもレビューを述べたいと思います。それではごゆっくり。
今や田中先生の代表作『銀河英雄伝説』の後作品としてひとまずの人気を博したこの『タイタニア』。
3巻の刊行以来20余年、もはや待つ悦びも哀しみも吹き飛びかけ、かと思えばテレビアニメが放映されひとまずの人気を取り戻したかに見えた。
と前回のレビューをこの冒頭で飾ったものですが、それに障る部分は譲ることにしてほぼ全体の展開について述べることにします。
遠い未来、銀英伝同様宇宙に進出した人類は数多くの惑星国家を形成して繁栄した。
そんな中タイタニア一族が宇宙の大半を牛耳る時代となり危うい平和が宇宙を支配したが。やがて一つの会戦での敗北から大いなる歴史の扉が開くに至るのだった。
やがて混乱の末ある者は戦火の中、ある者は陰謀の中で斃れ、ついには大いなる力がタイタニアの本拠地“天の城(ウラニボルグ)”の懐にてその猛威を振るうに至るのだが。とまあ、大まかなあらすじはこんなもので。
はじめこのタイタニアは『平家物語』のようなお話になるのかなと思ったのだけれど、後々になってシェイクスピアばりの悲喜劇に話が流れてしまった。
この作品もアルスラーン同様永いブランクがあり多少なりとその弊害を受けてしまった感もあったからやむを得ないといえばそうなのだけれど。
もうひとつ挙げたいのは先の諸事情にともなって一部のキャラが後に活かされていなかったなという想いもぬぐいがたい。それも後期に発刊した4、5巻の宇宙艦隊戦にも響いたのかなとも思う。さらにいってしまえば主人公的存在にてタイタニアの中枢の一人であるジュスランとその敵主たるファン=ヒューリックとで4巻あたりで艦隊戦を繰り広げると思ったが、それが思うように活躍はできなく、やはり後半の事情からジュスランと共闘してタイタニアの歴史にひとまずの幕を下ろす一翼を担ったのだけれど。
ここから先はネタバレながらも、ともかくも大いなるカタストロフィから混乱の中新たなる歴史を模索してくということで、ここでもある意味無情観から描かれたラストとなったかなということで、その意味でも銀英伝やマヴァールなどと通じているかなということで、ともかくも物語とたなか先生自身にも一つの時代にケリを付けたということでひとまずの評価を送りたいと思う。田中先生、本当にご苦労様でした。
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