ONE PIECEオリジナル・エピソード・オブ・アラバスタ・アフター(その2)
第2話:けじめと気合
先の話より少し遡って、このエピソードを語らねばならない。
アラバスタ・オアシスの街にてかつての砂砂団のリーダーにしてもと反乱軍のリーダー、コーサが仲間たちと一緒に街の復興に力を注いでいた。そのコーサも先の反乱があってか、いずれは王家に恩を返さなければならないという思いがあった。
そうこうと日が流れ、やがて親衛隊のペルがコーサのもとを訪れた。
「ああ、あんたか。今日は何の用なんだ」
いつも通りの調子でコーサは尋ねる。ペルもまた何事もないかのごとく応える。
「ああ、城も落ち着いたところだ。そろそろお前にも仕事を手伝ってほしいんだが」
「・・・成程・・・・・」
その言葉にコーサも笑みを浮かべる。実はコーサ自身も再び王家のもとで仕事がしたいとは思っていた。それがこうも早い時期なので内心驚いていたのだ。そんなコーサにペルは続けて告げる。
「あの乱からあまり日がたっていないとは思うが、なるべく早いほうがいいと王も申されている」
「・・・・・」
「それにビビ様もあれ以来落ち着きを取り戻しているが、今一つの元気もほしいところだ。そこでだ・・・・・」
コーサも観念したか、重い口を開くかにペルには見えた。
「ああ、おれもいずれは再びお仕えしたいと思ってたところだ。もちろん、街の復興も交えて行いたい」
「うむ・・・・・」
そして一息ついてからコーサはさらに言を続ける。
「しかしだ、今一つやり残したことがある。それをやらない限り、王宮でも働けない」
「やり残したことか、それは何だというんだ」
コーサはグラスを外し告げる。
「そうだな、働くにあたり改めて気合がほしい。ちょうどあんたが訪れたんだ、かつてビビにやったように、おれにも一発、頼む」
コーサのわずかな真剣さにペルも苦笑で応える。
「足元を見やがって・・・・・!!」
コーサにペルの右ストレートが決まる。コーサは軽くよろめいただけでさほど効いていない様子だ。そんなコーサにペルは再び声をかける。
「まずはこれで精一杯だ、改めて頼む」
コーサもグラスをかけ直し、一礼とともにこう返すのだった。
「謹んで、お受けしよう」
こうして元反乱軍のリーダーであったコーサは、改めてアラバスタ王家に仕えることとなった。
それは、麦わらの一味がジャヤにて空島の情報を集めんとした頃であった。
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