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オリジナル大長編・のび太のからくり城(その12)

いままでのあらすじ

落とし穴に落ちて牢に入れられるもすぐさま脱出したのび太くんたち、ドラえもんたちもまた大電皇のもとへと向かうのだった。

一方で時空を漂っていた若きタイムパトロール隊も、異変の元凶たるからくり城へと急行するのだったが。

 

ついにのび太くんたちは城の中枢の間にたどり着き、城を支配する大電皇と面会した。

「我コソハ大電皇ナリ、我、世ノ行ク末ノ混迷ヲ憂ヒ、コノ世ヲ、真ニ創ルモノナリ」

大電皇の言葉にまずお殿様が応える。

「そのために、のび太氏らの未来の世界を乱さんとするのか」

「否、今ノ流レ、コノ世、必ズ乱レルモノナリ。我ガ永キ刻ヲ用イテ思考演算シタ結果、コノ国、海外カラの戦乱ニ巻キコマレ、疲弊ノスエニ滅ビ去ル・・・サテソコノ者、我ガ言、理解シガタキニ見エルガ・・・・・」

そういうや、壁から奇妙な触手が出てきて、のび太くんの頭にくっついてきた。

「わーっ、何これ、だ、だ、だれか取ってぇ!」

「の、のび太氏!」

「お兄ちゃん!」

しかしややあって触手はのび太くんの頭から離れ、壁に収まっていった。その後大電皇が再び話し出すが。

「・・・さて、君の思考を読ませてもらったけれど、脳の機能そのものは普通だけど、記憶入手と判断力、それを使おうとする気力が足りないな。何とももったいないことだ」

「悪かったねもったいなくて、ってあれ、なんか分かりやすく話している」

「君の思考に合わせて、僕もしゃべっているんだ。そんな君にも分かりやすいように、もう一度さっきの言葉から始めようか。僕は大電皇。今まで永い永い時間をかけて考え続けて出た答えから、この日本が混乱の末に滅び去ると確信したんだ。それを阻止するために僕はこの城を使ってこの日本を、そして世界中を管理していくんだ」

「何と、そのようなからくりを発明しておったとは」

「僕の思考回路は人間の頭脳を参考にしているというから、それをもとに人間の思考を読み取る機能を発明したのさ」

お殿様の感嘆に大電皇は応えてから再びのび太くんに話しかける。

「さて君の思考とともに、君の記憶、経験というべきだろうか、最近周りの人とのしがらみに悩んでいるようだね、半分は君の責任とはいえ、環境に辟易、つまりウンザリしているんじゃないかな」

「うん、それは・・・・・」

そんな時、カラクリ兵が中枢の間に入ってきた。

「大電皇サマ、鶴姫サマをハジメ侵入者ヲ捕ラエマシタ」

「ご苦労さま、丁重にお招きしてね」

「ハハッ」

ややあって天井から鶴姫やドラえもんたちがすべて触手に絡まって連れられてきた。

「鶴姫!」

「お父上!」

「ああ、のび太く~ん!」

「ドラえもん!」

とまあ、今まで闘った末、善戦むなしくみんな捕まって全員が中枢の間に集まったのだ。

「みんな抵抗したからね、ちょっと手荒になっちゃったけれど。どうやらコロ助もしっかりつとめを果たしたようだね」

突然の大電皇の言葉にコロ助も動揺する。

「ど、どういうことなんだ、コロ助」

「ワガハイも知らないナリ。確かに大電皇のたくらみを知った途端に捕まってから意識がなくなって、現在に至ったナリが」

「あの時コロ助から記憶を読ませてもらった際にいい考えが浮かんだんだ。まず彼の電池から電気を抜き取って、その際に姫に故障したと偽って現代まで遺させた。ふたたびこの時代に英一くんとともにこの時代に帰ってくるためにね。それは現代に生きる君たちの記憶と情報が欲しかったんだ。それにそこの青と黄色のネコのカラクリがさらに未来から来たというから、これは大いなる機会、つまりは“チャンス”ってやつだな。ともかくも、これから僕は君たちの情報をもらってさらなる進化をするんだ。さらに良い未来をつくるためにね」

「なんということだ、ああそれから、のび太氏の現代においてわしを拝ませたが、それはいかに」

「その方が僕もやりやすいからね。単なる機会に支配されるよりは実際の統治した者のほうが親しみやすいといことかな。まあそれだけ、人がオロカだってことかな」

と、お殿様の問いに大電皇が応えるが。

「そんな、いくら人をオロカといっても、そんなこと許されるわけないわ」

ドラミちゃんも大電皇に抗議をする。それらを聞き流してから再びのび太くんに問いかける。

「あと君たちが思い描く未来には興味もあるけれど、物事は効率も大事なんだよ、そのことは君にも分からないかな」

「うん、よくわからないけど、やっぱりあまり窮屈な世界なんてイヤだから・・・・・」

「どうやら、このまま話し合いや議論をするのもめんどくさいようだね」

と、触手がのび太くんを捕まえる。

「わっ!」

「何をする、のび太氏に乱暴はやめよ」

すかさず大電皇がのび太くんに一つの提案をする。

「そこでひとつ提案だ、キミたち人間がオロカでないことを証明するために、今からボクの問いにキミが答えるんだ」

「えーっ!?

「なんだって、そんなムチャな」

「そうだそうだ、のび太は頭が悪いのに」

「それを知っていてそんな勝負をするなんてズルいぞ」

「悪かったな、頭悪くて」

ジャイアンやスネ夫のヤジかフォローかどちらかつかない言葉に返すのび太くんに大電皇は言葉を続ける。

「さあ、ちゅうちょしている時間はないよ、まずはじめの問題だ」

「ど、どうしよう・・・・・」

こうして、大電皇とのび太くんの問答合戦が始まるのだった。

 

つづく

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