オリジナル大長編:のび太のからくり城(その9)
いままでのあらすじ
ドラえもんたちを助けたのは鶴姫という女性だった。城の内情を知っている彼女は人手が欲しいと告げ、ひとまずジャイアンやブタゴリラたちを引き入れ、ひとまず協力を取り付けることができ、ここにいつもの仲間たちが揃ったのだった。
「すごい、これだけ広い建物が地下にあったなんて」
「これでもあの城に比べれば小屋みたいなものですが」
あの庵の地下に巨大な地下施設があったのだ。英一の感嘆(おどろいて感心すること)に鶴姫は応える。
「でもこれならゆっくりしていけるね」
「はい、まずは疲れた身体をお湯で癒していきましょう」
「お風呂!?」
しずかちゃんとみよちゃんが目を輝かせる。確かにこういった施設には大きな浴場がつきものなのだが。
「はい、まずはこちらに」
鶴姫が指した先に二つの扉があった。ここが浴場の入口である。
「こちらが殿方の、そちらが私どもの湯です」
扉の中からいわゆる芸者風のロボットが出てきてみんなを扉の中へと招き入れる。
「マズハオ召シ替エヲ」
芸者ロボットがまずのび太くんを籠の中に入れ、ややあってのび太くんはフンドシ一丁のいで立ちになった。
「ははは、まるで赤ちゃんみたいだ」
スネ夫がはやし立てるも、今度はスネ夫たちがロボットによって着替えをさせられる。
「ソレデハ、オ湯ノオ世話ハオ任セ下サイ」
こうして男子一同はロボットに招き入れるまま湯の中に入るのだった。
一方の女子、しずかちゃんとみよちゃん、そしてドラミちゃんもまたロボットによって着替えさせられ湯の中にいた。
「これってまるでおフンドシみたい」
「お風呂で水着ってのも分かるけれど」
「湯あみの時の湯衣なのですが、子供用を用意したのはかえって失礼でしたか」
「え、いえ、そんなことは」
詳しい説明はここで割愛するが、しずかちゃんたちがフンドシ一丁なのに対し、鶴姫はいわゆるさらし(胸に巻く布)とフンドシといったいでたちだった。
さておき鶴姫が手をたたくと、数体のロボットが入ってきた。
「ソレデハ、オ世話致シマス」
「あ、ちょっと待って・・・・・」
「ひ、一人で洗えるから・・・・・」
「マアマア、ソウ言ワズニ」
「大丈夫ですよ、そこのところは少し優しめに段取り(注:プログラム)を組んでおりますから」
ロボットはしずかちゃんたちの身体を洗ったりと世話をした。やはりバランスを崩しつつ世話をされている二人に対し、鶴姫はやはり慣れているのか立ったままで世話を受けている。一方で男湯の面々は半ばもみくちゃにされつつもロボットの世話を受けていた。
湯上りの後、のび太くんたちは半ばのぼせ気味なのに対し、しずかちゃんたちはつやつやの肌でやや満足げだった。
湯上がりの一行はそのまま夕食の席に移る。
「それでは皆さん、心行くまで英気(広い意味で元気と同じようなこと)を養って下さい。まずはこの杯を。果汁と砂糖を程よく混ぜたものです」
「つまりフルーツジュースだね」
「うん、それじゃ鶴姫さん、お願いします」
ドラミちゃんの呼び掛けに鶴姫が乾杯の音頭を取る。「それでは、乾杯!」
「かんぱーい!」
みんなが杯を飲み干し、ちょっとばかりいい気分になった。
「コノ杯ハ『酩酊杯』トイイマシテ、少シイイ気分ニサセテ夕食ヲオ楽シンデイタダケルト思イマスヨ」
「何か『ホンワカキャップ』みたい」
「アト料理ニハ『隠シ味ノモト』ヲ添エテオリマスガ、特ニオ魚ハオ骨モ柔ラカクシテオリマスノデ、安心シテオ召シ上ガリ・・・・・」
芸者ロボットの説明をよそに、みんな料理をうまそうに食べていた。
「・・・召シ上ガッテオリマスネ・・・・・」
こうして夕食はそのまま宴会に転じ、みんな心行くまで楽しみ、夜はグッスリと寝入り、次の日の朝を迎えたそうな。
つづく
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