オリジナル大長編:のび太のからくり城(その6)
いままでのあらすじ
ロボットの人形であるコロ助のもとの持ち主を調べ、木手英一の家へと向かったドラえもんたちは、歴史の改編で消えかけた英一の記憶を呼び戻し、今までの異変の原因を探るため、まずコロ助が異変の原因につながるいきさつを語り始める。
「それはワガハイがキテレツと別れ、奇天烈斉さまと一緒に生活を始めたしばらくしたころから始まったナリ」
「もともとコロ助は奇天烈斉さまの死んだ息子をモデルに造られたロボットだったんだ。僕はこれからの奇天烈斉さまのためと、コロ助を昔の時代に残したんだけど」
「やがてワガハイたちはとある旗本の人のご厄介になったナリ。でもしばらくして奇天烈斉さまは病で亡くなられ、研究のすべてを封印し、大百科としてキテレツの家に伝えられたナリだけど」
「ちょっと待って、確か奇天烈斉さまは座敷牢に入れられて気がふれたっていうけれど」
ひとまず英一が疑問を呈する。それに対してもコロ助は淡々と説明する。
「そう伝えるよう大百科に記したナリけれど。その時代はキテレツも知ってる通り奇天烈斉さまの科学は受け入れられなかったナリ。だけど・・・・・」
「うん、後に分かったことだけど、そもそも木手家のご先祖様は奇天烈斉さまと懇意となった職人が大百科を託して今に至ったんだ。それについて奇天烈斉さまに敬意を表して、木手家は奇天烈斉さまの子孫と名乗っていたんだ。ちなみに大百科を封印したのもそのお気持ちを察してのことだけど、今のでなんとなく分かったよ」
「う~ん、なんとなく分かったような分からないような。でも大百科を封印したのはいいけれど、でもどうしてそんな奇妙な世界になっちゃったの」
「そうだね、誰かが研究の資料を書き写して、その発明品が今の世界に影響を与えたってことだけれど」
「それもやはりお殿様のせいナリ」
「え、オトノサマ、まさか・・・・・」
のび太くんは夕方お参りした神棚のことを思い出す。
「さっき言った旗本の人が、大百科を密かに写して、自分だけの科学で日本をセイフクしようとしたナリ。もちろん、娘のヒメサマとワガハイは反対したナリけど、そのうちにワガハイの電池が切れて・・・・・」
「それでヒメサマっていう人が、箱に入れて神社に封印して、のび太くんが見つけたってことかな」
「そういうことになるナリ」
「いずれにしてもそのお殿様が歴史を変えて今のヘンな世界になったから、その過去に飛んでお殿様を止めなきゃいけないわね」
「でもどうやって過去に飛ぶの、僕のタイムマシンはもう動かないのに」
そのドラミちゃんの言葉に軽く英一が問う。
「大丈夫、もともと私とお兄ちゃんは未来の世界のロボットだから。はい『タイム・オートキー』」
と、小さなスイッチらしきものを出して、それを押したら、目の前の空間に大きな穴が開いた。
「さあ、私の『チューリップ号』に乗り込みましょう」
と、ドラミちゃんに促されるまま、みんなが時空の穴へと入っていくのだった。
つづく
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