世の中いじめっ子だらけ:出木杉英才(できすぎ・ひでとし)くんの場合・改訂<本当は怖いドラえもん>
さて、たびたびキャラごとののび太くんへのいじめを挙げたけれど、さらにもう一人首級を挙げたいキャラがいる。出木杉くんである。
そもそも彼は連載開始10年目ごろにのび太くんの恋のライバルとして初登場した。それ以前もたびたびそういうキャラが現れたが、やはり同年代ということだけあっていつの間にか彼が準キャラとして定着してしまったのだ。
それから藤子F先生も彼に情が移ったようで、たびたび彼を登場させ、何かとしずかちゃんと仲がよくなるのを嫉妬したのび太くんが何とか見返してやろうとあの手この手をつくしては結局は失敗に終わるという話の展開が確立され、極めつけに『冒険ゲームブック』の巻にてやはり出木杉くんをダシに終始こき下ろされてしまったお話もあったりする。
つまりは本来主役であるのび太くんが引き立て役になってしまったほどの良キャラということで。
これは出木杉くんとのび太くんとのやり取りを通じて、人をうらやむことの愚を説くと受け止められるが。まあそれだけにのび太くんの姿が痛ましいと思うのは編者だけではないはずだ。また、キャンプへ行こうとスネ夫が持ちかけるも毎度のことのび太だけ仲間はずれにするのにあわせ、あろうことか出木杉くんまでもそれに合わせてしまったのだ(彼自身のび太くんのためにと思って言ったにしても)。
それについて、たとえば勉強を教えるにしても、いっつも他人の答えを写すだけで辟易しているだろうが、まあここはその時点で見捨てずに根気よくポイントを教えてやるのが最善ではなかったか、だいたい「一人で何とかしろ」というのもある程度無責任であるのも事実だけど、今日日本の小中学校の勉強はある意味記憶に頼る学習が専らなので一人で何とかなるといえば何とかなるけれど。ともかくそれもお約束になっているのかもしれないし、その点に関しては出木杉くんもまだまだ子供だなというのも、あまり根気の良くない大人たる編者の率直な意見ではあるのだけど。
でも子供といえば、大長編『小宇宙戦争(リトルスターウォーズ)』にてジャイアンたちが映画製作を敵に地球の兵器を間違われて破壊されたことをのび太くんたちの仕業と思いこみ仕返ししようとするときに「ぼくはケンカは嫌いだ」とさっさと逃げたことも挙げたい。やっぱこれはこれでまずいだろう。
最後に、ここまで言いつのっても、『ふたりっきりでなにしてる』の巻にて誕生日にはしずかちゃんと一緒に祝ってくれたりと、結局は本当の意味で友達なんだなというわけで。もっとも、その純粋さものび太くんにとっては嫉妬の対象になったりしたりもするのだが。
しかしそれでも、ある程度の人間臭さというか、魅力というか、ともかくしずかちゃんの母性本能をくすぐった点に関してはのび太くんが上手だろうと今回はまとめたい。
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