特別企画・麦わら親分捕り物帖:万事屋始末記(後編)
今までのあらすじ
グランドジパングにて近隣の大江戸シティから銀時たちが訪れ、そよ姫の病を治すための霊薬を求め、青鼻せんせいことチョッパーを訪れたが、結局悶着となってしまう。
しかしフランキーの知人ココロばーさんの仲介もあって、ひとまずもう一つの霊薬のありか、人魚屋へと足を運ぶのだった。
変わってジパングの片隅にある人魚屋。ここはジパング近海に住んでいる人魚たちが経営する料亭である。そこに近藤以下真撰組が店の前に押しかけた。
「はーい、いらっしゃいませェ」
人魚屋の店員であるケイミーが愛嬌よく迎えるが、それに対し脇の土方がそっけなく応える。
「御用改めだ、まずはこの店の店長に会わせてもらおう」
そこですかさず近藤が腕を組んだまま土方を制する。
「まあ待てトシ、俺たちは殴り込みに来たわけじゃない。ひとまず俺が店長と交渉をしよう、取り次いで頂けるかな」
「あ、はい・・・・・」
ひとまず状況をつかみかねながらもケイミーは近藤を中に招き入れる。
またところ変わって、人魚屋に向かう麦わら親分と銀時たち。
神楽「おい豆ダヌキ、さっきからシカに化けてるアルが、一体どうなっちゃったアルか」
チョッパー「これがおれの本当の姿なんだ、それにおれはトナカイだ」
神楽と青鼻せんせいのやり取りに背中に乗っているおナミも割って入る。
おナミ「でも、さっきからずっとトナカイだけど、どうしたの青鼻せんせい」
チョッパー「うん、この姿が一番落ち着くんだけど。生え変わるのは時間の問題かな」
おナミ「生え変わるって、まさかツノが?」
チョッパー「うん」
おナミがツノを触ると、心なしかツノが揺れた気がした。
で、再び人魚屋。
「で、この人魚屋で何が望みなのかい。サムライボーイ」
人魚屋の奥まった部屋に鎮座する女将シャーリーと対面した近藤は恭しく口を開く。
「実は、わが江戸の将軍さま妹君、そよ姫さまのご病気のため、その治癒の霊薬の材料を取りに来た次第。件の材料の一つががここ人魚屋にありと聞き、ここに参上いたした。つきましては、その治癒の霊薬、貴女がたの、ウンコを所望したい」
変わってちょうど銀時たちも人魚屋の近くへとさしかかろうとした。
ココロ「ともかく、ここを曲がれば人魚屋らよ」
ココロばーさんが指を差すや目の前に巨大な水流にふっ飛ばされる人影があった。
その吹き飛ばされた数人の人影、近藤たち真撰組だったのだ。
ルフィ「何だァ、今でっけえ大波が起こったのか」
ココロ「こいつは魚人柔術奥義『海流一本背負い』または人魚柔術『ウルトラマリン』らねェ」
と、ココロばーさんが述べ、そんな倒れている近藤たちに銀時たちが近付く。
銀時「なーに遊んでるんだお前ら」
近藤「なんだ、銀時か」
新八「オィィィィ、何であんた裸なんだァ!!」
何故か近藤はウルトラマリンの水圧で服が全部脱げてしまったのだ。
近藤「いやな、俺たちもそよ姫のために人魚さんのウンコをだな」
そこにすかさず隻眼の僧兵ゾロが現れる。
ゾロ「何だルフィ、おめェらも来てんのか」
ルフィ「ああ、ゾロじゃねェか。お前人魚屋にいたのか」
ゾロ「ああ、そこの女将に雇われてな、今こいつらを追っ払うところだ」
ゾロの言葉に反応してか、近藤の両脇の二人が起き上がる。
土方「悪いがこちとら任務なんだ、こんなところでおめおめ帰されるわけにはいかねえ」
ゾロ「ほォ、やる気じゃねェか、こいつは面白ェ」
ゾロと土方が刀を構え、対せんとしたその時、双方の刀を受け止めた者がいた。
ゾロ「てめェ、何を・・・・・!?」
土方「何、足で刀を」
サンジ「人魚屋はこのグランドジパングの楽園だ、そこを荒らそうというなら、てめェらまとめてブッ飛ばす」
ウソップ「なーにゾロにまでケンカ売ってんだよおめェは!!」
そんな中、女将シャーリーがケイミーとともに表に出てきた。
シャーリー「まだ追っ払ってないのかい、緑のボーヤ」
ケイミー「何とか穏便に帰ってもらおうよ、って、何でサンジちんまでもケンカに加わってるの!?」
そこに何故かココロばーさんが声をかける。
ココロ「おう、久しぶりらねェ、おめェら」
シャーリー「ああ、お久しぶりです、ココロさん」
ナミ「何でココロさんとシャーリーが。でも追っ払うんだったら私たちが力貸そうか」
シャーリー「・・・いいよ、ナミ、あんたにはこれ以上迷惑はかけられない」
そうこうと話が進んでいる中、青鼻せんせいのツノが大きく揺れ動いたかと思えば、ポロっと抜け落ちる。
チョッパー「ん・・・・・」
おナミ「あれ、ツノが・・・・・」
チョッパー「うん、ようやく抜け落ちてくれたか。この時期になると落ち着かなくて困ってたんだ。これでようやく一安心だ」
すかさずいつもの形体に戻る青鼻せんせい。それをすかさずココロばーさんがツノを拾い上げる。
ココロ「こいつはシカのツノだね、これは滋養強壮の妙薬として珍重されるねえ」
チョッパー「うん、あとで薬として加工しようと・・・・・」
新八「じゃあチョッパーさん、それをそよ姫の薬として」
チョッパー「え~、お前らにこれをやらなきゃいけねェのか」
おナミ「お姫様の病気を治すんでしょ、だったら仕方ないわよ」
チョッパー「それはそうだけど、あとこいつらどうするんだ」
目の前にはゾロと土方、サンジがいまだに乱闘をしていた。
ルフィ「いいんじゃねェか、結構楽しくやってるようだしな」
おナミ「そういう問題じゃないでしょ」
そこにもう一人、血の気の多い奴が加わろうとする。
沖田「とうやら血を見るしかねえみたいですぜ」
と、刀を抜いてその乱闘に加わろうとしていたのだ。
ココロ「そうみたいらねえ」
おナミ「ちょ、ちょっとココロさん」
ココロばーさんの言葉に、一同慄然となる。
ココロ「今思い出したんらけろね、人魚の血は万病によく効くというからねえ」
ルフィ「おいおい、そいつァうんこより物騒じゃあねェか」
シャーリー「だからそれはやめな」
ココロ「ともかくだお嬢ちゃん、その姫さんのために、誰かが生き血を分けてあげなきゃいけねェんらよ」
シャーリー「しかし、ココロさん・・・・・」
ココロ「ともかく、ここはあたしに任せて、青ッ鼻、ちょっと顔貸しな」
チョッパー「あ、うん・・・・・」
と、チョッパーを連れて、ココロは人魚屋の中に入っていった。ややあってチョッパーが生き血の入ったツボとともに出てきたのだ。
チョッパー「おれのツノと人魚の生き血、これですべてそろったはずだぞ」
新八「ありがとう、チョッパーさん」
神楽「これでそよちゃんの病気治せるアル」
チョッパー「あ、ちょっと待った、この二つはそよ姫のもとへおれが届けるから」
銀時「おい新八、やはり信用されてねえな」
新八「あんたらがバカやってるからじゃねえか。あと土方さんたちを何とかしないと」
おナミ「ああ、あいつらはもう片付いたわよ」
見れば土方とゾロ、サンジはいきなり生えてきた腕でクラッチをかけられていた。
ロビン「余計なお世話だったかしら」
おナミ「ううん、ナイスタイミング」
どこからともなく現れたロビンにおナミが返す。しかし何故か傍らの近藤までも阿修羅バスターをかけられていたのだが。
ともかくも大江戸城にて、青鼻せんせいが調合した霊薬でそよ姫の病気は回復した。
チョッパー「あと一晩安静にしていれば元通り元気になるぞ」
茂茂「うむ、かたじけない」
そのついでに、城下の子供たちにも同じ病気にかかってる者もいたので、余った薬で治していったそうな。
変わって風車屋。
おナミ「でも、人魚の生き血だなんて、シャーリーはよく承知したわねえ」
フランキー「ケイミーから聞いた話だが、ありゃココロのババァの生き血だそうだ」
おナミ「え、でもココロさんは人魚じゃ」
フランキー「実はババァは昔シラウオの人魚なんだよ。これが昔の写真だ」
と、写真を取り出し、その美人っぷりにサンジが飛び付くが、
サンジ「・・・待てよ、あの美人がココロのばーさんだったら・・・うそだァあああああ・・・・・!!」
と、気を失いかける。そのついでに、
ルフィ「ココロのばーさんが人魚だなんて、なんかすげェイヤだな」
おナミ「あんたら本っ当に失礼よ!!」
一方の人魚屋でも、
シャーリー「本当に申し訳ありませんココロさん」
ココロ「なァに、いいってことらよ、あたしの生き血で役に立ちゃ冥利に尽きるってもんらよ」
山崎「なるほど、ココロさんも人魚だったんですね」
シャーリー「あんた、まだ居座ってるのかい」
山崎「いえ、ここのあんぱんが絶品だって言いますから」
ブルック「ほんとうに、おいしいですね」
ゾロ「本当にいいのかよ、これで」
とまあ、出番のなかったブルックと山崎とともに、あんぱんに舌つづみをうつゾロだった。
完
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