続・のび太は悪い子?<本当は怖いドラえもん>
さてドラえもんのひみつ道具の中には、ユメを育むモノだけでなく中後半で顕著だった「のび太くんを悪い子に仕立て上げての」戒めのためのモノもある。今回もその代表となるお話を挙げたい。
『テレバしい』
ある日、言葉を発するのが面倒であれこれ指差しで指示しようとするのび太くんのものぐさにあきれ、懲らしめのために『テレパしい』という実を出してそれを食べさせる。
はたしてのび太くんの意志が他人に伝わるのがいいが、何気ない想いまでも多くの人に筒抜けとなり、結局ひどい目にあいっぱなしになったそうな。
~まずはいわゆる以心伝心という言葉があるように、言葉がなくとも気持ちが伝わればいいな、という意図からつくられたお話というのはうかがい知ることができる。
それがものぐさを戒めるというとんち話に折れたということで。それを踏まえ教訓的にはいまいち説得力に欠けると思うのは編者だけだろうか。やっぱり最後のズッコケまでもとことんバチを当て尽くすことについてもやはりやりすぎだったろうとも思うし。
『ぼくをタスケロン』
ある日、困っている人たちをかえりみず宿題をしようとするドラえもんが思いやりを諭そうと『タスケロン』という薬を出す。
それを飲まされたのび太くんは道行く人たちをあたりかまわず助け続ける。
薬が切れ夜遅くなって途方に暮れるのび太くんを見ていたしずかちゃんが宿題を手伝ってあげるのだった。
~まずこのお話の冒頭のくだりは確かにのび太くんの素行を監視するというもので、確かに現在の視点から見れば「気色悪い」といった感覚だろうけれど、これは昔で言う「お天道様が見ている」という躾の文句が描きたかったのだろう。そう考えればその強引さもデフォルメだととらえれば多少は抵抗は感じないとは思うのだけど。
しかしここではまず自分のことで精いっぱいなのがそもそもの発端だったか、その戒めによる結果的な善行の後で、最後救いが来た。やはりこういったお話がすっきりとまとまってよかったかなと自分勝手ながら思うけれど。
とまあ、後期に頻発したこれらのお話、何度も述べることながら、とんち話というものはどんな悪い話でも受け入れればためになる、それも分かるけれどしょっちゅうだとやはりイヤだし、まして悪態をつくばっかしでは意味がないと思うから、たまには救いも入れてもいいというのが人情ではないだろうか。
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