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世の中いじめっ子だらけ・序・改訂<本当は怖いドラえもん>

ドラえもんの全話を通じて、お話の大半がのび太くんに対するいじめの問題が占めているともいえる。いうなればひとえにのび太くんの周りはある意味いじめっ子だらけでともいえる。これをマンガだからと切り捨てるのもやはり味気無いだろうからもっともらしく説明すれば、
まずジャイアンとスネ夫、確かに一番のネックともいえるが、もっともそれに対するのび太くん(とドラえもん)も必ずや仕返しが成功するとも限らず、時としては返り討ちにも遭うのもしばしばあり、それが中後期になって仕返しもままならずにやられっぱなしというオチにもなるし、時には半ば教訓的に懲らしめられる形を取るオチでも締めたりもする。これは後に述べるにして。
時にはドラえもんですらいじめっ子の立場に回ることもある。確かにのび太くんの怠けぐせを戒める形を一応取っているとしても。
あと突き詰めればのび太くんがいじめられる隙をつくるのがいけないともいうけれど、これもちょっと無意味な鶏卵論となってしまいかねない。
それからママや先生の叱責も『いじめ』ととらえるのはやはり乱暴なのだろうか。まあ表現的な問題も踏まえてそう見えるのも無理はないのかなあと思えなくもないのだが。
そもそも学校の先生だったら子供に勉強や時には人生について教えるのが第一の仕事のはずが、のび太くんの先生は顔を合わせるたびに叱りつけるキャラになってしまった。こういう形でキャラがた固まっちゃったなと思うのだが。
さておきそれらの“いじめ”について、各話ごとに何らかの対処法が組まれたりもするのだけれど、まあそれにしたっても結局ほとんど一時的なものばかりで、根本的な解決法も考えられないこともなかったのだけれど、それについては軽く2話紹介したい。

『どくさいスイッチ』
この日も野球に負けた責任を取らされジャイアンにバットで殴られまくったのび太くん。
「ジャイアンがいなくなれば」とぼやくのび太くんにドラえもんが『どくさいスイッチ』なる道具を出す。これは消したい相手をスイッチを押せば消してくれる道具だったのだ。
それでまずジャイアンを消したが今度はスネ夫にいじめられるようになり、スネ夫を消したら他の子が、ときりがないので回り全部の人たちを消してしまう。
やがて「一人でなんて生きていけない」と寂しがるのび太くんにドラえもんが「気に入らないからって何でも消してしまえばきりがない」と諭して元に戻すのだった。
『ジャイアンの心の友』
いっつもジャイアンにいじめられるのび太くんにドラえもんは、いっそジャイアンと仲良くできればと、ジャイアンの歌のレコードを作る道具を出す。それで「心の友よ」と気を良くしてみんなに配ったので今度は他の子供たちの恨みをのび太くんが受けることになったそうな。
~以上2本において、前者はいっそのこといなくなれば、でもいなければやはりさびしいものだ、ということで、対して後者はいわゆるどっち立たずのお話となってしまった。
結局いつも通りのケースバイケースで対処するしかないといった結論に至るのだが、中後期にいたり教訓やら躾やらで露骨にいじめられっぱなしとなったお話もちらほらとなってしまったのも実情だった。それに関しては作者の藤子F先生自身の心情を察すればある程度理解はできるのだけれど。
そんなわけで、お話の中でのいじめについて、まずはいじめの根本について、そして各キャラ、まずジャイアンやスネ夫はありきたりだからひとまずは置いて、各キャラクターごとの問題点をピックアップしたい。

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