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のび太のジゴクめぐり(その6)<ドラえもんオリジナルネタ小説>

今までのあらすじ

 

アクマの門にてアクマたちの妨害にあったのび太くんは、舞い降りた天使の助けで仲に入ることができ、その先のサイの河原にてこれからのジゴクへ進むため、釜ゆでになりつつ身体を清められた。
 
さらに針山ジゴクを経てさらなるジゴクへと足を運ぶのだった。

第10章:ケンタウロスの森

 

「ああ、イタかった、だいぶ歩いたつもりだけど、この森はどんなジゴクなんだろう」

しばらく歩いて行くうちに少し疲れたのび太くんは、傍らの木にもたれかかるが、
 
「誰だあ、オレの身体に気安く触るやつはぁ」
 
「わっ、木が、しゃべったぁ!」
 
もたれかかった木、がしゃべったかと思えば、振り払うように枝を振り回す。
 
「ここは自分勝手なモノが落ちるジゴクだあ。ここで休みたきゃ、お前も木になるかぁい」
 
驚いたのび太くんは一目散に逃げるように森を抜ける。しかし抜けたその先はアクマが何かを油で揚げていた。
 
「アクマがテンプラを揚げてるのかあ。一体何を揚げてるんだろう」
 
「おっ、こんなところに何でニンゲンがいるんだ。ここはウソをついて人を苦しめた奴がオチるジゴクだ」と、一人のアクマが応える。
 
他のアクマが会話を聞いているうちに、そのアクマが揚げたテンプラらしきもののコロモからユウレイが飛び出し、また油の中に逃げ出していく。
 
「おい、お前に気を取られて、テンプラが逃げたじゃないか。どうしてくれるんだ」
 
「わっ、ごめんなさーい!」
 
抗議するアクマたちから逃げ出し、先へと急ぐ。またその先には無数のヘビがびっしりと敷き詰められていた。
 
「今度はヘビジゴクかあ、何かやだなあ」
 
その言葉に反応したのか、ヘビたちが話しかけてくる。
 
「おっ、ニンゲンだ、こんなところに来るとはめずらしいな」
 
「ここはヘビジゴクだ。人のモノを横取りする奴が落ちるジゴクだよ」
 
と、ヘビたちは路を開けつつ応える。ヘビたちの道を歩きつつ、のび太くんはつぶやく。
 
「ジャイアンもいつかここに落ちるのかなあ」

 そのときである。

 「でもキミも買い物のおツリをごまかしたり、道で拾ったおカネをネコババしたことがあるだろう」
 
と言うや、一番大きなヘビのはのび太くんの体に巻き付いていく。
 
「ここを抜けたきゃ、この先を進むがいいさ、ヒヒヒヒヒ」
 
そのヘビに巻かれつつ、ヘビの道を走り抜けていく。
 
「ほらほら、ちゃんと進まないと食べちゃうぞ」
 
と、けしかけられつつも走り抜き、しばらくすると、ヘビが何故か離れていく。
 
「おっと、ここから先はオレも進めないな。それじゃあ、気をつけろよ」
 
「ああ、びっくりした。でもどうしてあのヘビは離れていったんだろう」
 
抜けた先は黒い沼が脇にある小路だった。
 
「また何か出てきそうだなあ」
 
と言うや、その沼から無数のゴーストが現れた。
 
「今度はゴースト、いろんな怖いものを見たけたけど、やはり分かってても怖いなあ」
 
周りに飛び交うゴーストにおびえる間もなく、今度は無数の矢が飛んできた。そしてその1本がのび太くんのおシリに突き刺さる。
 
「うわー!!
 
一気に飛び上がったと思えば、一気に身体の力が抜けていき、そのまま突っ伏してしまう。
 
そこにさっき弓矢を放ったものたち、馬の身体に人の上半身のケンタウロスたちが現れた。
 
「こら、シーナ、この子はニンゲンだぞ」
 
「あれ、おかしいなあ、そう言えばこの子は大魔王さまの所へと旅してる子じゃない」
 
突っ伏しつつものび太くんはそのケンタウロスの父娘に問いかける。
 
「え~と、おじさんたち、だれ・・・・・?」
 
「わたしたちはここのジゴクでツミをサバかれているゴーストたちを見守ってる者たちだ」
 
「ごめんね、いきなり射っちゃって。あたしはシーナ、おわびにこのジゴクだけはあたしが乗せてあげるわね。もうすぐシビれは消えるはずだから」
 
と、のび太くんをケンタウロスの娘シーナの背中に乗せ、小道を抜ける。
 
「でもどうしてゴーストたちを弓矢で射ってるの」
 
「ここは他人にツミをなすりつける者がオチるジゴクで、ここでこのゴーストたちはサバかれているのだ。時々こうして沼地を抜け出していくから、わたしたちが射って沼地に返すのだ。わたしたちの矢には誰も逃れられない」
 
のび太くんもそれに何かを想いいたそうとするが、途中で思いとどまる。
 
「うーん、なんとなく分かる気がする」
 
「そうだね、分かる気がすれば本当に分かる時がくるよ。素直に自分のツミを認めれば、他の人も分かってくれるから」
 
「うん・・・・・」
 
しばらくして岩場へとさしかかり、シーナたち親娘とここで別れる。
 
「それでは、気を付けて行きたまえ」
 
「元気でね、のび太くん」
 
「うん、ありがとう」
 
名残を惜しみつつ、のび太くんは先を進むのだった。

つづく

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