のび太のジゴクめぐり(その4)<ドラえもんオリジナルネタ小説>
今までのあらすじ
エンマ大王のサバキによってジゴクをめぐることになったのび太くん。
カゼの谷においては風に流され、ドロジゴクにおいてはジゴクの番犬ケルベロスに追い立てられ、たどりつた先には、ムシオニとミノスが待ち構えていた。
第6章:岩ジゴク
「ここは岩ジゴク、欲張りな者が落ちるジゴクだ。そういやお前もちょっとは欲張りなところがあるな」
と、ムシオニがこのジゴクの説明をする。
「ええっ、それじゃあ、ここで何すればいいの」
のび太くんの問いに合わせ、一つの岩が転がり始め、のび太くんに近づくではないか。
「これを向こうの山のてっぺんまで転がすのよー」
と、ミノスが説明するが、
「えーっ、こんなに大きい岩、動かせないよお」
確かに直径2メートルほどの岩、しかしミノスはシッポでのび太くんの背を押しつつ、
「ハイハイ、文句言わないで、さっさと岩に手をついて」
のび太くんが岩に手をついてから、ムシオニが、
「よし、準備ができたか、それじゃあ・・・・・」
と、のび太くんのおしりを槍で突き刺し「わーっ!」と驚きつつのび太くんは岩を押して山を登るのだった。
こうして岩ジゴクの苦行を始めたのび太くん。しかし巨大な岩を押して山を登るうちに、疲れからか当然ペースを落としていくが、そのたびにムシオニがおしりを槍で刺し、のび太くんも無理やりながら岩を押し上げていく。
こうしててっぺんまで上り詰めたのび太くん。流石に限界を超えていたのかすっかりのびてしまった。
「ハイ、ごくろうさん」
「何だ、結構やるじゃないか」
「結構やるじゃないか」
「やるじゃないか」
とケルベロスも賞賛する。
「さーて、いつまでもへばってるヒマはないぞ、この山を下りてからアオオニが待ってるぞ」
と、ムシオニにヤリでけしかけられつつ、山を下りていく。
第7章:アオオニの渡し
「おう、遅いじゃないか」
そこには先のアカオニと同じ大きさのアオオニが待ち構えていた。
「今からこいつをこの先のジゴクへと渡してくれないか」
と、ムシオニが頼み込む。
「おお、これがアカオニが言っていた子供か」
「は、はい、ヨ、ヨロシク、オネガイ、シマス・・・・・」
おっかなびっくりとのび太くんは応える。
「まあいいさ、この先は長いからな、ゆっくり乗ってくれ」
とまあ、のび太くんとムシオニ、ミノス、ケルベロスを乗せてアオオニの渡し舟が出発する。
舟を進めておくうちに後ろで舟を漕いでいたアオオニが座り込む。
「さてと、これで流れに乗ったわけだから、着くまで一休みだ」
「まだまだジゴク巡りはこれからよ」
「あ、うん・・・・・」
しかし川底から何かのざわめきが聞こえるので、のび太くんはそっと覗きこむ。そこにアオオニが語りかける。
「この川は、人々のイカリを封じ込めているんだ。お前さんも何かイヤなことにあってイカリを感じたことがあるだろう」
「えっ、でも、そういえば」
川底からは明らかに自分の姿が映し出されていた。ジャイアンたちにいじめられ、ママに叱られ、果てはドラえもんにもからかわれてイカリで取り乱している自分の姿だった。それを見てのび太くんは気分が重くなった。
「・・・みっともない、いくらみんなに突っつかれたとはいっても、僕自身もあれだけ取り乱すなんて」
「おう、それに気付いたのか、まあ、イカリというのは最後は自分からおさえた方がトクってこともあるんだ。それだけでもこのジゴクはクリアだな。ともかく、あと少しだからゆっくりと休むがいい」
やけになつっこいアオオニの言葉に従って、のび太くんは体を横たえて休むことにした。
ややあって、舟が向こう岸に乗り上げる。
「おう、着いたな、これが次のジゴクに通じるアクマの門だ」
ムシオニの言葉とともに舟を降りるのび太くんたち。その後でアオオニは舟を再び戻す。
「それじゃあ、気を付けてな」
との言葉とともに、アオオニと別れて、一行はアクマの門へを向かう。
つづく
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