のび太のジゴクめぐり(その3)<ドラえもん創作ネタ小説>
今までのあらすじ
今日も周りからつっつき回されたのび太くんはたまらずにタイムマシンで家出をし、目覚めた先はジゴクの1丁目だった。そこの支配者であるエンマ大王からこのジゴクをめぐることを命じられたのび太くんだったが。
第4章:カゼの谷
エンマ大王に吹き飛ばされたのび太くんは、風に乗せられるままに空を漂っていた。
「い、一体、どこまで飛ばされるんだ、これがユメじゃないとしたら、これもドラえもんの仕業だな、いくらなんでもひどいじゃないか」
そんな時、のび太くんに何かが近づいて語りかけてきた。
「おーいボウヤ、キミは生きているヒトかね」
語りかけてきたのは一人のユウレイだったのだ。
「えっ、まさかおじさんはユウレイさん」
「そうだよ、アタシは出っ歯のカメキチという、今ではユウレイとなってこのカゼの谷を漂っているんだよ」
「そうだったの、でもカゼの谷って、一体なに?」
「うむ、ところでキミは女の子のスカートをめくったりお風呂をのぞいたりしたことはあるのかね」
一瞬のび太くんはカメキチさんの言葉に何かを思い出し、ドキッとしてしまう。
「ここはそう言ったものが落ちてツミをサバかれるトコロだよ。キミの場合はしばらく漂っているうちに、次のジゴクへと落ちるけれどね」
言っているうちに、のび太くんの身体が下へと降りていく。
「えっ、それじゃまさか、だんだんと下がって、ああっ、落ちちゃうよぉ!」
そのうちに一気に下へと落ちていく。
「それじゃあ、気をつけてねー」
と、見送るようにカメキチさんは告げるのだった。
第5章:ジゴクの番犬
カゼの谷から落ちてきたのび太くんは、やわらかい沼地、いうなればドロの海に飛び込んでしまった。
「ペッペッ、ドロの海に落ちちゃうなんて、ここはドロジゴクかな、でもこのドロ、チョコかミソの味がするなあ」
ドロから抜け出し、足を取られながらも、のび太くんは先を進もうとする。
「でも、ここはどんなジゴクなんだろう」
「ここは乱暴者が落ちるジゴクだ」
「乱暴者が落ちるジゴクだ」
「落ちるジゴクだ」
のび太くんの背後から巨大な3つ首のイヌが現れた。
「わっ、イヌ、それに首が3つ!?」
「おれ様はジゴクの番犬ケルベロス様だ」
「ジゴクの番犬ケルベロス様だ」
「ケルベロス様だ」
「ケ、ケルベロス、それに、このジゴクって」
「見たところ、お前は乱暴するより乱暴される方だな」
「乱暴するより乱暴される方だな」
「乱暴される方だな」
「うん。そうなんだ」
「その分ドロにはまって苦労してるんだな」
「苦労してるんだな」
「してるんだな」
「だったらこの先の山へと進んでいくがいいぞ」
「進んでいくがいいぞ」
「いくがいいぞ」
「え、うん、でも、やっぱり、足を、取られちゃう・・・・・」
進もうとしてもがいているのび太くんをケルベロスは吠えたてて追いかける。
「ほらほら、急がないと乱暴しちゃうぞ」
「乱暴しちゃうぞ」
「しちゃうぞ、バウワウ!」
「わっ、わっ、わっ!」
こうしてのび太くんは、ケルベロスに追い立てられるままにドロジゴクを後にする。
こうしてたどり着いたのは無数の岩が転がっている山のふもとだった。
「よう、遅いじゃないか」
「まったく結構のんきよねえ、これもアナタのためなのに」
「えっ、ムシオニさんとミノスさんが、どうして」
そこにはムシオニとミノスが出迎えていたのだ。
つづく
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