のび太の堕落論:ネタみソネみの裏っ返し<本当は怖いドラえもん>
はじめに:この記事は『子供の自己顕示欲はどうよ~この世で最も卑しいこと』から改題、修正したものです。
さて今回は、自己顕示欲からくる、人を比較したりこき下ろしたりすることの愚を描いたお話のレビューを述べたい。
『僕よりダメなやつがきた』
ある日、多目くんという子が転校してきた。その子はのび太くんより出来が悪く、それに気を良くしたのび太くんはいろいろと自分と比較しては優越感にひたる。後日ジャイアンたちに野球の試合に引っ張られそうになると、代わりに多目くんを立てたりもした。
そこでドラえもんは“配役入れ替えビデオ”を出して先日ののび太くんの行いをスネ夫と入れ替えて教え諭す。
こうして野球に負けたことを責められる多目くんをかばい、後日転校することとなった多目くんは自分を親身になって付き合ってくれたのび太くんを本当の友達といって別れを告げるのだった。
~これは「人を羨んだりこき下ろしたりするのは恥ずべきこと」という話ということで、多目くんを比較したりするのはそういった妬みや嫉みの裏返しということになる。それをドラえもんがビデオで諌めたことについて、たしかに入れ替えたことでのび太くんが省みて多目くんを助けたくだり、結局はスネ夫がいっつもやっていることで、つまりはのび太くんがダメならスネ夫はいいのか、ということにもなるのだが。
たしかにスネ夫といえば、まずジャイアンと調子を合わせのび太くんをいじめるのはもちろん、おカネにものを言わせて何かしらを自慢してうらやましがらせたり、果ては何かに誘うにしてものび太くんだけを仲間外れにしたりと枚挙にいとまもない。もしかするとジャイアンよりもたちの悪い場合もあるだろう。
これについてはそもそもスネ夫はのび太くんより劣っているところについてある程度自覚をしているのではないかと。そしてそれについて重いコンプレックスを持っていて常にいじめたりこき下ろしたりしなければ気が済まないようになっているのではないか。
その想いは次の言葉に集約されているだろう「のび太のくせに生意気だ」と。
さておき、その多目くんも、自分の出来の悪さを自覚していてもうちょっとよくなりたいという向上心(さらに言えば自尊心)もあってそれがある意味のび太くんも反感を買いかけたのだが。
結局先のいきさつもあって、のび太くんは人を妬んだり嫉んだりは出来ない性格だったということで。
しかしこの関係も後の出木杉くんにも通じているものと思えば結構複雑な感じもする。
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コメント
こんにちは、この話見ました。
ドラえもんが道具で自覚させたシーン
まるで「わが身を抓って他人の痛みを知れ!」って教訓でしたね。
投稿: 鳴海みぐJr. | 2013年8月 7日 (水) 14時18分