笑ゥせぇるすまん~A(安孫子)版ドラえもん・改訂<本当は怖いドラえもん>
今回は趣向を変えて藤子・F・不二雄先生の親友藤子不二雄A先生について述べたい。
藤子不二雄Aこと我孫子素雄先生といえは今の若者からみれば「もう一人の」といった認識でしかないやもしれない。
そもそも藤本、安孫子両先生は小学生のころに知り合い、後にともに上京して漫画家の道を歩み、長じて藤子不二雄の名で世出したのはご存知のところ。
それから各自の代表作をA先生は『怪物くん』『忍者ハットリくん』『プロゴルファー猿』と次々と送り出していった。
そんな中、両者合作というのもしばしば行われ、パーマンとハットリくんとの合作も2本上映され、ドラえもんにてもハットリくんから『ニンニン修行セット』、怪物くんから『怪物くん帽子』などのエピソードが生まれたのだ。
まあ当然のことだろうけれど、80年代半ばでその藤子ブランドも肥大化して、まあ利権というものも出来てしまったことで、それぞれの仕事と著作権を分化しようとあえてコンビを解消してしまったということであった。
しかしその友情は終生変わらなかったことはここで一マンガファンとして明記したい。
さて、そんなA先生もドラえもんの影響を受けた作品を2本ほど描いていたことは知る人ぞ知ることだろう。さてそのA先生の作品、今回は『笑ゥせぇるすまん』について軽く述べたい。
現代社会の片隅でいろいろな悩みや鬱屈をもって日々を送っている人々がいる。
そんな人々の心のスキマに入り込む一人の男、その名は喪黒福造、人呼んで笑ゥせぇるすまんである。彼はそれらの人々に様々なアイテムやサービスを提供する。
はじめ人々はそれらに一時の充実感を味わうが、やがてそれにのめり込み。ついにはかえって破滅的な状況に陥ってしまう
そしてその有り様を見届けて、喪黒は夜の闇に去っていく。
そう、これは毎回悩みや鬱屈を訴えるのび太くんが、ドラえもんの秘密道具にて一時解決しかけるも、途中ハメを外してかえって手痛いしっぺ返しを受ける状況になるという、お決まりのパターンに当てはまる。そのドラえもんのいわゆる暗黒面をA先生が揶揄をしたように受け止められる。
ただ違うのは再起不能となる喪黒の客に対しのび太くんはこりずにまた悪態をつくところか。それはともかく、
たしかに現世のしがらみから解放され、ある意味彼岸に旅立ならば、これもある意味救済とも呼べるだろう。
あと契約違反で解約されそのまま破滅するというのも結局口約束など薄っぺらいものだというA先生の痛烈なる暗喩が込められている。その契約違反というのも結局は現実のいわば人間関係のしがらみからくるものだということは、あらゆる意味で我を通すことの難しさを表しているのだなということで。
まあそんなこんなで、今夜も喪黒ドラえもんは現代社会の底辺に生きるのび太くんたちを弄びに夜の街を暗躍していく。といったところで人々に認知されたことだろう。
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