のび太の堕落論~寝れば現実逃避ができるのか・改訂<本当は怖いドラえもん>
さてここでは、今回は眠ることと、それを趣味としているのび太くんを通じて、まあ勝手な解釈ながらこの根底を探りたいと思う。
『眠りの天才のび太』
その日も授業中に居眠りをして先生やママに叱られ、ジャイアンたちにからかわれ、果てはどんな夢を見てるのかと調べたら、昼寝の夢だとドラえもんに呆れられる。
寝てばかりじゃ動物と変わりないとドラえもんは諭すも、のび太くんはもし寝ていれば尊敬される世界になったらと、『もしもボックス』でそういう世界にしてもらう。
果たしてその世界でののび太くんは一躍ヒーローに祭り上げられたが、町のみんなが眠ったままで、果ては居眠り運転のトラックが家に突っ込んで、のび太くんもこれはたまらんと、もとの世界に戻したそうな。
このお話は日常の煩わしさから解放されて、ゆっくりと(眠って)過ごしたいという誰しもが思うささやかな欲求とあとその弊害も描かれているということで。
然るにいっつもストレスにさらされっぱなしののび太くんは、寝ることによってそのストレスを押さえ込んでいるかもしれない。
そう考えれば日頃風当たりが強いのび太くんがストレスに押し潰されずになんとかやっていけたのもうなづける。それを邪魔されるとすれば(と思い込んでいるにしても)やはりたまったものじゃなく、ついつい弱音を吐いてしまったのだろう。
あと、どこかのお話で「いっつもボーっとしているからストレスなんて感じない」といったくだりがあるけれど、それはウソだろう。何故ならストレスを感じない人間なんていなく、むしろストレスは生物が本来持っている本能のひとつなのだから。要はそれをいかに制御出来るか、これにつきるだろう。
それを鑑みて、このお話はある程度の現実逃避のお話ともとらえられるだろう。つまりは寝ることによって日頃ストレスの多い現実から離れようとしたのだけど、やはりそれだけでは何かと具合が悪い。
やはり、生きている限りぐっすりと寝ていてもやがて朝に目覚めるものだから、その辺の心構えをしっかりとやれればいいかもしれない。
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