のび太の堕落論~怠けることは悪いこと、だけど・改訂<本当は怖いドラえもん>
さてここでは、日常の中で一番堕落につながりやすい怠惰とその願望、そしてその戒めについて述べたい。まずはこの2話から、
『のび太の地底国』
この日も学校が嫌だと悪態をついてはドラえもんになだめられるのび太くんは、0点の答案を隠そうと穴を掘る道具を貸してもらおうとどこでもホールを使ったところ、巨大な空洞を発見する。そこで地底都市をつくることにしてしずかちゃんたちを誘ったが聞きつけたジャイアンたちもついてきてしまった。ともかくも新しい遊び場とこの地底都市をのび太くんが「どうせなら自分たちの国にしよう」と提案する。
しかしみんなが国造りをしようとしている中でのび太くんだけ怠けて昼寝をしていたので、みんなの非難を受け反乱を起こされる。結局地底国は崩壊し、逃げている途中に手にしていた0点の答案を見つけられママにしかられたそうな。
『インスタントロボット』
ある日ママに言いつけられた家事等をしなければならないのび太くんを見届けたいドラえもんだったが、急用で家を離れなければならないので、自分の代わりに手作りの「インスタントロボット」でのび太くんを監視させる。そこでのび太くんはこれを使い、自分やみんなのロボットを作り、それで家事を押し付け自分はのんびり昼寝とこぎつけようとした。ところがスネ夫のロボットが本物のジャイアンをのび太くんの家に招き、ジャイアンのロボットに草むしりをさせるのを見せる。はたしてのび太くんはジャイアンたちの殴り込みを受けてとっちめられてしまったそうな。
さてこの2話について、そもそも話の動機は「怠けたい」という願望から始まった。前者はみんなの新しい遊び場がほしいという願いと合わさって。地下の国を作ろうとしたところで自分だけ怠けようとした。後者はみんなのロボットを作ってこき使おうとした。どちらも直接間接を問わずみんなの反発を受けしっぺ返しを食らった。まあ確かに自業自得は分かるが、それに関していわゆる怠惰の罰について一言。
前者ではママに叱られるにしても、わざわざ逃げる際に地面を掘って0点の答案を掘り返させたり、後者ではジャイアンたちにとっちめられるにしても、わざわざ殴り込んで来たという具合に、
「もう、ここまでするか」と思えるくらい、「ここまでして」怠けること、ひいては人として生きることをおろそかにしてはいけない。というのを伝えたかったにチガイナイ、といったところか。
それでも当時のギャグマンガの風潮と合わせてのオチ~読者の襟首をつかんで笑わせるのと同じように躾ごとを伝える~から、余計陰惨にも感じずにはいられないのだが。
まあそれならは、こういう場合は自分の我を通さずにみんなで力を合わせた方がいいと思う。とまあ、ここはこれでよしとして。
ある程度大人になるための人生勉強、社会勉強も必要不可欠でもある。しかしながらそれだけでは疲れるのでたまには休んだり怠けたりするのも必要なのかなと。それから、大人ですらもたまには怠けたい、あるいはまとまった休みがほしいという願望がある。
まあつまりは怠けることと、頑張ろうとする途中で一休みするいわゆる“ガス抜き”というのとはやはり違うということで、それでも休む暇なく努力をすれば本当の意味で大成することだってある、といったところか。
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