のび太の堕落論~大自然が教えてくれたもの<本当は怖いドラえもん>
さて、先の『森は生きている』のお話にて、現実から離れようとしたのび太くんをあえて突き放し、現実から引き戻したこと、お次の『しずちゃんさよなら』のお話にて優しさゆえの強さでのび太くんを立ち直らせたことに続き、今回は特に前者に対して大自然そのものが人として生きる道を教え諭して前に歩ませたことについて、以下の二本を要約して述べたいと思う。
<タンポポ空を行く(ファンタグラス)>
ある日たまたま庭に植えたタンポポを育てることになったのび太くん。その際にドラえもんがファンタグラスという道具を貸してくれた。
これはグラスを通して物事を空想の世界に織り混ぜて観察する、まあいわゆる子供用の教材のようなものである。
そのグラスを使ってタンポポと対話をしながら育てていく、のめりすぎを心配するドラえもんをよそに。
やがてタンポポも種をつけ、その種たちは飛んでいく。しかし最後の一個が飛ぶことを嫌がる。そこにタンポポは自分の旅立ちをかたり旅立つことの大切さを諭す。
そしてその種も旅立つ。それを見送ってからのび太くんは久しぶりに野球に入れてもらおうと思うのだった。
<羽アリのゆくえ(うつしっぱなしミラー)>
ある日部屋にまぎれ込んだ羽アリを見かけ、庭に放した後で気になるので、うつしっぱなしミラーを出してもらい、それでひとまずは観察をすることにした。
こうして始まった観察も、しずかちゃんや出木杉くんも加わってある程度進められた。
時が流れて再びまぎれ込んだ羽アリを見つけ、あのアリたちのことを思い出す。アリたちの何匹かは羽アリとなって巣立っていったのだ。
のび太くんはそれに何かを感じ入り、あとドラえもんの励ましもあって自分も前向きにいこうと思い始めるのだった。
~以上二つのお話にて、タンポポやアリたちが、たとえ空想の中、まして裏山の森に比べればスケールが小さいとはいえ、のび太くんと我々読者にある意味人として生きることの大切さを教えてくれた。まあ先のお話も描きたかった根は同じだろうと思う。要はユメの終わらせ方だということで。
最後にもう一言、突き放すだけで終わった『森は生きている』に釈然としなかった人は、今を生きることの大切さを諭した今述の2作を読んで「ああ、こういうことなんだなあ」といくらかは理解していただければいいと思う、ちょうど僕のように。
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